米スペースX、壮大な火星移住計画を発表

2020年代に有人飛行、2060年代には100万人移住も

2016.09.30
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火星への旅

 マスク氏は、正確なスケジュールははっきりしないと認めつつ、2020年代半ばまでには火星への飛行を始められると考えている。その計画によれば、火星への旅は以下のようになる。

スペースXの惑星間輸送システム
どのように人を火星に送るのか。イーロン・マスク氏の構想を描いたアニメーションで見てみよう。

 まず使われるのは、組み立てると少なくとも60メートルになるという、とてつもなく大きなロケットだ。スペースXが「惑星間輸送システム」と呼ぶ仕組みのシミュレーションでは、幅12メートル近くもあるロケットブースターの先端に、飛行士を乗せた宇宙船が取り付けられ、桁違いの推力で宇宙空間に発射される。42基のラプターエンジンを使い、ブースターは時速8648キロまで加速する。

 NASAがこれまで製造した中で最大のロケットは、アポロ計画で飛行士を月に送ったサターンVだが、スペースXのロケットは全体でその3.5倍も強力になる。しかも、発射台もアポロ計画と同じフロリダ州ケープカナベラル、ケネディ宇宙センターの39Aだというのは、おそらく偶然ではないだろう。(参考記事:「アポロのエンジン、海底から回収される」

 クルーが乗った宇宙船部分が地球周回軌道に入ると、ブースター部分は自力で方向を制御して、元の発射台に軟着陸を果たす。この離れ業を、スペースXのロケットブースターは1年近く前から成功させている。次にブースターは燃料タンカーを積み込んで地球軌道にいる宇宙船に届け、火星への旅の準備を整える。

 火星に向かうルートに入ると、宇宙船はソーラーパネルを広げて太陽からエネルギーを集め、貴重な推進剤を温存する。これにより、「赤い惑星」への心躍る着陸が約束される。(参考記事:「推進剤は火星で製造、最新版「火星の帰り方」」

 マスク氏の構想では、クルーを乗せた宇宙船団は、地球と火星が互いに近づく位置関係になるまで地球軌道にとどまる。ちょうどよい配置になるのは26カ月に1度だ。「やがては、1000を超す宇宙船が軌道上で待機することになるでしょう。そして、火星移住船団が一つになって目的地を目指します」とマスク氏は語る。

 計画の鍵は、さまざまな宇宙船をできる限り再使用することだ。マスク氏は、「再使用ができない状態で、自立した火星基地を作る方法があるとは思いません」と言う。「昔の木造帆船が1回きりの使い捨てだったら、今の米国は存在していないでしょう」

 マスク氏は、各ロケットブースターは1000回、タンカーは100回、宇宙船は12回使えるようにしたいと期待している。不確かではあるが、初期には宇宙船1機に100人が乗り、200人超まで徐々に増やしていく構想だ。

 そうすれば、計算では最初の宇宙船打ち上げの後、40年から100年で100万人が火星に住むようになる。

 もちろん、必ずしも片道の旅ではない。「帰還という選択肢を人々に用意するのはとても重要なことだと考えます」とマスク氏は話している。

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