大麻栽培は「エコでオーガニック」志向へ、米国

急成長する大麻市場、肉や野菜と同様の商品性求めて

2017.06.23
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医療用・嗜好用大麻が合法化された州で、販売用の大麻草が収穫される。(PHOTOGRAPH BY LYNN JOHNSON, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 米国の大麻産業が急成長している。このまま成長を続けると、2021年には売り上げが202億ドルに達する見込みだ。

 現在、大麻産業に携わる人々の多くは、大麻草の栽培が環境に及ぼす影響を抑えるため、エネルギー、水、農薬の使用を控える努力を始めている。米ルイス・アンド・クラーク大学の調査によると、米国で1平方フィート(約0.09平方メートル)の屋内スペースで大麻草を育てると、そのために消費するエネルギー量は病院の同じ広さの4倍以上、商業用ビルの8倍以上、宗教施設の20倍以上になる。しかし、大麻に関する十分な研究がなされていないことと、規制が整っていないことから、産業関係者は難しい立場に立たされている。

 2015年のナショナル ジオグラフィック誌6月号で、英語版編集長のスーザン・ゴールドバーグは、大麻を医療用や嗜好用に合法化する州が増加していると書いた。当時、米国内で大麻を医療用に認めていた州は半分にも達していなかったが、今では29州とワシントンDCで合法化されている。

【参考記事】ナショナルジオグラフィック日本版 2015年6月号 マリファナの科学

 だが、ゴールドバーグの以下の引用部分は、当時も今も変わることはない。「一部の州が大麻の規制、販売、課税に前向きに取り組む一方、連邦政府は発展のための研究にも消極的であり、おかげで確かな情報と科学に基づいた選択をしたくても、その知識を持てずにいる人々は増えるばかりだ」

州と連邦政府、大麻の扱いに温度差

 この情報不足は、処方薬や食品と比較して厳格さに欠ける大麻の検査過程にも表れている。効能や微生物増殖を調べる検査は、大麻の全生産量のうち0.01%に対してしか実施されていない。それ以上は必要のない経費と見なして、生産者も検査したがらないのだ。

 大麻に寛容なコロラド州では、生産過程をチェックする目的で、1回の収穫分から1点の検体を採取・検査し、これを1週間ごとに6回行うことが義務付けられているが、それを通過すれば後は1年間検査する必要がない。

 新しい肥料を加えたり、効率性の悪い照明を交換したなど、生産過程に変更があった場合にのみ再検査が必要となる。

 ある検査施設の所有者は匿名で、「THC(テトラヒドロカンナビノール:大麻の主な有効成分)の濃度を水増しするために、検体に手を加える施設もあります」と明かした。

「検査件数が少なく、顧客をつなぎとめておきたいがために、顧客を満足させることに必死になった結果、検査施設の価値が大きく損なわれてしまいました。例えば、夫の所有する栽培施設の大麻を、妻が所有する検査施設で検査するというケースがあっても、州はそれを承知の上で何もしていないのです。医療用大麻の場合、これは問題だと思います」(参考記事:「実は病人が入手しづらい〈医療大麻〉のカラクリ」

 この人物はさらに、大麻が他の医薬品や食品と同等の法的扱いを受けていれば、この問題は解決されるかもしれないという。一般的な医薬品や食品は、全製品の1%近くが検査されている。

 連邦政府は、1970年の規制物質法によって、大麻をヘロインやエクスタシーと同じレベルである「スケジュールI」の薬物に指定している。そのため、大学やその他の研究機関は、簡単に研究や検査の許可を取ることができない。(参考記事:「マリファナ合法化の波、米連邦にも」

 今年の4月半ば、フロリダ州選出の下院議員マット・ガエッツ氏とダレン・ソト氏が、大麻をスケジュールIIIへ再分類する法案を連邦議会へ提出した。スケジュールIIIは処方鎮痛剤と同じ区分になり、検査機関での検査もはるかに実施しやすくなる。

次ページ:大麻の「オーガニック認証」めざす動き

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