2700年前の謎の黄金財宝、起源を解明

古代王国タルテッソスの財宝とされた装飾品、素材を分析した

2018.04.12
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異文化の融合で生まれた

 金が現地で採掘されたものだとしても、装飾品の製造にはフェニキアの技術が使われたとナバロ氏は言う。財宝が発見された地域ではフェニキアの寺院が確認されており、財宝そのものもフェニキアと現地のタルテッソスの文化が融合して生まれたものとみられる。

 スペイン国立研究協議会の考古学者で金の技術を専門にし、自身もカランボロの財宝を研究してきたアリシア・ペレア氏は、タルテッソスが地中海西部と地中海東部の文化が融合したものという見解に同意する。

「フェニキア人の男性が現地の女性と結婚するのは、言ってみれば、当たり前の話です」と同氏は話す。

このネックレスは、デザインの特性からキプロス島が起源だと考える研究者もいる。(PHOTOGRAPH BY DE AGOSTINI, GETTY IMAGES)
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 ペレア氏は今回の新たな研究について、全体としては評価する。特にスペインでは金について化学的に同位体分析した例はまれだ。だが、カランボロの財宝を生み出した文化と、これまでバレンシナで見つかった文化とを直接関連付けようとする考え方には異を唱える。(参考記事:「フォトギャラリー:古代の黄金財宝、驚くべき9点」

「双方の世界をつなぐものがあるとすれば、金という素材だけです」とぺレア氏。

 今回の分析は、21個ある装飾品のひとつから剥がれ落ちた破片を調べただけだ。ペレア氏はカランボロの装飾品の製造技術について研究を発表しているが、それによると、一部は様式や技術面から見て現地で製造されたものとみられるが、彫刻の施されたペンダントはデザインからみてキプロスの様式だという。

 タルテッソスにまつわる謎の解明はこれからも続くが、一方で、古代文明とアトランティスの関係についてはナバロ、ペレア両氏の意見は一致する。

「まったくありえない話です。考古学とも科学的な研究とも関係がないのですから」とペレア氏は言う。

文=Joshua Rapp Learn/訳=上村知子

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