「始祖鳥は飛べた」説に新たな証拠、骨格を分析

ウズラやキジに似ている、短距離を勢いよく飛んだか

2018.03.15
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始祖鳥の化石、ミュンヘン標本。(PHOTOGRAPH BY PASCAL GOETGHELUCK, ESRF)
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「最古の鳥」とも呼ばれる始祖鳥。翼をもち、鳥類と恐竜とのつながりを示唆するこの羽毛恐竜は、果たして実際に飛ぶことができたのか?

 この問いを巡り、古生物学者たちは何十年も激しい議論を戦わせてきた。翼はあるものの、始祖鳥が自力で空を飛べたかどうかは不明のままだ。木の上から滑降していたのか、羽ばたいて地上の捕食者から逃れられたのか、あるいは、そのどちらともまるで違う動きをしていたのだろうか?

 このほど、始祖鳥の前肢の骨を分析した研究結果が3月13日付けで学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された。それによると、始祖鳥の前肢の構造は現在のウズラやキジの翼の骨の作りに非常に近いという。いずれも、短い距離を勢いよく飛べる鳥だ。今回の発見により、始祖鳥が空を実際に飛べたという説が強固になった。加えて、化石を破壊せずに内部の構造を分析したという点でも、専門家たちから歓迎されている。

「世界有数の最先端技術を用いた素晴らしい研究です」と、英エジンバラ大学の古生物学者スティーブ・ブルサット氏は評価する。氏は今回の研究には関わっていない。(参考記事:「羽毛恐竜に鳥のような翼を発見、始祖鳥以前」

【参考動画】始祖鳥の羽毛の色を特定
始祖鳥の化石化した羽毛の色を科学者たちが特定した。始祖鳥は、爬虫類から鳥類への進化的移行を表している。(VIDEO BY BROWN UNIVERSITY)(解説は英語です)

飛べたのかどうか論争

 およそ1億5千万年前、現在のドイツに当たる地域は木々が点在する群島だった。そこに、カラスのように真っ黒な羽毛をまとった始祖鳥が暮らしていた。

 1860年代初めに発見された始祖鳥の化石は衝撃を呼んだ。特に、ちょうど1年前にダーウィンが進化論を発表したことが大きかった。ダーウィンが進化の中間段階に当たる形態を予言していたところへ、まさしくそうした生物が見つかったのだ。

 以来、飛行能力に関する激しい論争も含め、始祖鳥の研究が盛んに続けられてきた。(参考記事:「鳥類の羽毛、飛翔能力より先に進化?」

 議論はしきりに一進一退してきた。その理由について、米テキサス大学オースティン校の古生物学者ジュリア・クラーク氏は「始祖鳥を現生の鳥と比較し、始祖鳥が持っていないものについて論評しているためです」と話す。氏は今回の研究に関わっていない。

 例えば、飛行できる現生の鳥は、胸骨に竜骨突起がある。強力な胸の筋肉がこの突起に付着して支えられ、翼を下向きに動かすことで羽ばたいている。始祖鳥の化石では、こうした胸骨は見つかっていない。ただクラーク氏は、これらの構造が軟骨でできており、化石として残りにくかった可能性があると指摘している。(参考記事:「恐竜時代のひな鳥を発見、驚異の保存状態、琥珀中 」

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