クローンを作って激増したザリガニ、秘密は染色体

メスばかりで増え続け、環境への適応能力も高い「侵略的外来種」

2018.02.09
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 ミステリークレイフィッシュは現在、ヨーロッパ全域とマダガスカルで見つかっている。スタイン氏によれば、わずか10年のうちに爆発的に増えたという。

 しかも、どんな環境にも適応する能力があるようだ。テキサス大学リオグランデバレー校の生物学者ゼン・フォークス氏は、自身のウェブサイトにミステリークレイフィッシュがこれまでに見つかった場所を地図で示し、追加情報が寄せられれば地図を更新している。今や、ミステリークレイフィッシュは在来種を脅かす侵略的外来種という扱いになっている。(参考記事:「アフリカでザリガニ繁殖、固有種に危機」

圧倒的な適応能力

「酸性の水にもアルカリ性の水にも、さらに汚染された水にもきれいな水にも存在します。しかも、どこにいようとも遺伝子構造は同一なのです」と、ステイン氏。

 リコ氏は、これほど多様な環境に適応しているのは、多様な遺伝子が環境に合わせて発現するためだろうと語る。「ある環境ではコピーaが発現し、別の環境ではコピーbが発現しています」

 ミステリークレイフィッシュの特殊な遺伝子構造を研究することは、がんの研究にも役立つと期待されている。がん細胞もまた、クローンを作ることによって進化し、多様な環境に適応する能力を持っている。

「現在、ミステリーフィッシュにゆっくりと起こっている進化は、腫瘍形成の最初期段階で起こることと似ています」

 これは基礎的な研究のため、これを基にがんの治療法を開発しようとしているわけではないが、腫瘍発生の最初期段階を理解するためのモデル作りには役立つだろうと、リコ氏は期待する。(参考記事:「解説:サルのクローン誕生、その意義と疑問点」

【動画】世界初のクローンザル、中国で誕生(解説は英語です)。

文=Sarah Gibbens/訳=ルーバー荒井ハンナ

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