サイ角の国内取引再開、264本を競売へ、南ア

密輸を促すとの懸念、サイトには中国語、ベトナム語も

2017.08.23
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南アフリカ北西州クレルクスドルプ――ヒューム氏の土地で放牧されるサイ。ヒューム氏は世界最大のサイ牧場のオーナーで、1500頭以上のサイを飼っている。貯蔵している膨大な角を売却することで、サイの保護のための資金を調達する予定だ。(PHOTOGRAPH BY DAVID CHANCELLOR, KIOSK)
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 南アフリカ共和国のヨハネスブルクから南西に160kmほど。クレルクスドルプにあるジョン・ヒューム氏の牧場では、約1500頭のサイが放牧されている。この世界最大のサイ牧場のオーナーは、約20カ月ごとにサイに鎮静剤を投与して角を切り落とす。密猟を防止し、将来販売できるようになる日まで保管しておくためだ。現在貯蔵している角は6トンを超える。(参考記事:「世界最大のサイ牧場の『すばらしい写真』」

 そしてとうとうその日がやって来た。ヒューム氏は、8月23日にネットオークションで南アフリカの住民向けに264本のサイの角を販売する予定だ。

 南アフリカでは2009年から国内でのサイの角の売買が禁止されていたが、2015年にヒューム氏ともう一人の牧場主が禁止撤回を求める訴えを起こした。その結果、今年4月の判決で、国内取引再開の道が開かれた。ただし、1977年に定められた国際取引の禁止は現在も継続中である。(参考記事:「サイの角、南アで取引解禁へ 密猟増加の懸念も」「サイの角の国際取引、解禁案を委員会が否決」

 南アフリカ環境省は、サイの角を売買しようとする者に許可の申請を義務づけている。ヒューム氏は8月20日に土壇場でこの許可を得る判決を勝ち取ったと、この日法廷の傍聴席にいた南アフリカのジャーナリストがTwitterに投稿した。

 3日間にわたって行われるこのネットオークションの目的は「サイの飼育と保護を推し進めるために必要な資金の調達」であると、オークションが行われるサイトには記載されている。オークションを取り仕切るのは、南アフリカの事実上の首都プレトリアを拠点とするヴァンズ・オークショニアズだ。(参考記事:「角の取引合法化でサイを絶滅から救えるか」

 南アフリカには現在世界に2万9500頭しかいないシロサイの約7割が生息しているが、密猟の脅威にさらされている。この国で密猟者によって殺されたサイは、2007年には13頭に過ぎなかったが、昨年は1050頭以上に激増した。角の需要を背景に売買され、そのほとんどが中国とベトナムに密輸出される。これらの国では彫刻を施して装飾品や美術品にされるほか、民間薬の材料としても売られている(ただし、サイの角の成分であるケラチンは、人間の毛髪や爪を形成するたんぱく質と変わりなく、薬効を示す証拠はほとんどない)。(参考記事:「サイの密猟が過去最高に、南アフリカ」「史上最大、サイ100頭の空輸計画」

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