新型犬インフルを確認、人間で大流行の可能性は?

「パンデミックH1N1」の新型を中国で発見、犬がかかったときの対処法も紹介

2018.06.13
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

――飼い犬から人間に感染することはあるのでしょうか。

 犬から人への感染は前例がありませんし、この先すぐに感染するようになるという可能性は非常に低いでしょう。ウイルスの表面にある粒子は、いわば「鍵」のようなもので、動物の細胞表面にある特殊な「錠」にぴたりとはまるようにできています。犬インフルのウイルスが持っている鍵は、犬に感染するためのものですから、犬インフルのウイルスの鍵が人間に感染できるようになるには、大幅な突然変異が必要です。(参考記事:「狂犬病から“ゾンビウイルス”?」

 米疾病対策センターは2016年、インフルエンザ危険度評価ツールを用いて、犬インフルが好む宿主、抗ウイルス剤への感受性、病気の重大さ、人から人への感染の見込みなどの評価を行っており、その結果、パンデミック(世界的大流行)が起こるリスクは低いと結論づけています。

――しかし新たな論文では「パンデミック」という言葉が使われていますね。

 先日発表された研究論文は、2009年の豚インフルと関連のある犬インフルの新型を確認したというものです。このウイルスは現在「パンデミックH1N1」と呼ばれています。

 人間の細胞にある錠が、豚の細胞にあるそれと似ているため、豚から人へとインフルエンザウイルスが感染することがあります。それが2009年に起こったことでした。一方、豚から犬への感染は、両者の錠がさほど似ていないことから起こりにくいとされてきました。(参考記事:「いつ出るか、インフルエンザ新ワクチン」

 とはいえ、8つある新型犬インフルの遺伝子断片のうち、2009年のH1N1に由来しないものは5つありますし、論文によると、中国の当該地域は、野犬や犬肉市場など、犬から人間へのウイルス伝播がとくに起こりやすい要素があるのだそうです。(参考記事:「『犬肉祭り』が中国で開催、食用に1万匹とも」

 この論文はまた、緊急の行動を呼びかけているわけではありません。研究者らがH1N1を含むサンプルを採取したのは2013〜2015年のことであり、また今のところ、犬インフルの種を超えた感染は犬から猫にしか起こっていません。ただし論文の著者らは、継続した監視が必要だとしています。(参考記事:「ペットとのキスはどれほど危険なのか?」

 米疾病対策センターのウェブサイトによると、同センターはすでに年間を通じて動物のインフルエンザの監視を行っており、また同センターと米農務省はどちらも、犬インフルエンザが人間への脅威となるという「可能性の低い事態」にも対処するための手順を定めています。

――飼い犬がインフルエンザに罹患したことが疑われる場合はどうすればよいでしょうか。

 犬インフルエンザにはワクチンがありますが、もし飼い犬が咳をしている場合には、まずはかかりつけの獣医に電話をして、予約をした方がいいかを尋ねてください。その間、感染予防のために、飼い犬は他の犬を遠ざけておいてください。動物病院では、インフルエンザかどうかを確認するための検査をしてくれます。

 インフルエンザだと診断された場合の治療法は単純です。十分に体を休めて、脱水症状にならないよう水分を取らせます。これを症状が消えるまで続けますが、期間は最長で1カ月ほどでしょう。犬インフルは人間には感染しませんから、どうぞたっぷり抱きしめてあげてください。(参考記事:「イヌが人懐こくなった理由は「難病遺伝子」に」

【参考ギャラリー】どの子が好き?愛らしいイヌたちの写真10点(写真クリックでギャラリーページへ)
イエローのラブラドール・レトリバー。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

文=Theresa Machemer/訳=北村京子

おすすめ関連書籍

シーザー・ミランの 犬が教えてくれる大切なこと

人生の節目には必ず犬が寄り添い、導いてくれた。シーザー・ミランが語る、犬とともにある幸せと愛。

定価:本体2,000円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加