ハイエナは邪悪? 5つの都市伝説を検証する

つきまとう悪いイメージを払拭しハイエナ復権へ、専門家に聞いた

2016.06.01
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ブチハイエナは”死骸の掃除屋”として有名だが、実は優秀なハンターであり、大きな動物を仕留めることができる。南アフリカ共和国で撮影。(PHOTOGRAPH BY KIM WOLHUTER, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 ハイエナには常に、「醜い」「泥棒」といった悪いイメージがつきまとう。国際自然保護連合(IUCN)のハイエナ専門家グループによると、彼らは何百年も前から「墓荒らし」「魔女の馬」と呼ばれ、嫌われていたという。

 だが、本当にそこまで嫌われるような動物なのだろうか? ハイエナにまつわる5つの都市伝説を検証した。 (参考記事:「ハゲワシ “嫌われ者”の正体」

伝説1:頭が悪い

真実:ハイエナは体がたくましいだけでなく、頭もいい。

 2012年の研究で、ブチハイエナが、箱の中の餌を食べるために、ふたにかけた「かんぬき」を開けることが確認された。ほかにも、ハイエナは目的を果たすために、さまざまな方法を試すことがわかった。この研究論文の著者の一人である米ワイオミング大学の動物学者サラ・ベンソン=アムラム氏は、ハイエナには「アイデアを創造する力」があると考えている。

 ベンソン=アムラム氏はまた、ハイエナは「縄張りに入ってきた侵入者の数を正確に見積もることができます」と語る。自分たちの群れが敵より数が多いときにだけ、攻撃を仕掛けるという。つまり、数を数えるような力も備わっているのだ。

 また、米ペンシルベニア大学の博士課程修了研究員、アミヤール・アイラニー氏は、ハイエナは群れの仲間同士の結びつきが強く、連携をとって行動するので、協力して狩りをしたり、ライオンの攻撃から身を守ったりすることができると言う。ほかの肉食動物よりも頭蓋骨が小さいのも、「肉を食べ、骨を噛み砕くために必要な筋肉が発達した結果なんです」と説明する。

トムソンガゼルの赤ん坊を捕まえたブチハイエナ。タンザニアのセレンゲティ国立公園にて撮影。(PHOTOGRAPH BY MICHAEL NICHOLS, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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伝説2:コソコソ歩く卑怯者

真実:後ろ脚が前脚より短いため、コソコソ歩いているように見えるだけ。実際は持久力のある優れたランナーだ。

「ハイエナは、追跡タイプの捕食者です」とベンソン=アムラム氏は言う。「スピードよりも、持久力があることで獲物を捕らえることができるんです」

 卑怯者かどうかは、伝説5を参照のこと。

伝説3:イヌの仲間、もしくはネコの仲間

真実:どちらでもない。

 ブチハイエナ、シマハイエナ、カッショクハイエナ、アードウルフの4種で、独立したハイエナ科を形成している。アードウルフはオオカミに似ていることからその名が付いた。(参考記事:「ブチハイエナ」

 アードとは、ハイエナの祖国である南アフリカ共和国のアフリカーンス語で「土」を意味する。アードバーク(ツチブタ)同様、シロアリ塚にすむ昆虫を好んで食べる。

伝説4:ハイエナは両性具有

真実:一般的に雄より雌の方が大きく、しかも「擬ペニス」を持つため、このような噂が広まった。

 この擬ペニス、そばにはきちんと「睾丸」まで備わっているが、実は陰唇が結合してできたもので、中には脂肪組織が詰まっている。雌雄どちらも、興奮してあいさつを交わすときに勃起する。(参考記事:「ハイエナの雌に「ペニス」、雌雄どう判別?」

 とはいうものの、擬ペニスは単なる見世物ではない。メスは擬ペニスから出産するため、「第1子を産んだ後には裂けてしまうんです」とベンソン=アムラム氏は語る。

ブチハイエナは、雌が率いる「クラン」と呼ばれる群れで共同生活を営む。クランは最大80頭ほどで形成されていると考えられる。米カンザス州の動物園にて撮影。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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伝説5:横取りか、食べ残しをあさるだけ

真実:実は1頭でも集団でも動ける、狩りの名人だ。

 死骸をめぐって争うハイエナとライオンの姿を見たとき、多くの人はハイエナがライオンから盗みを働いていると思うだろう。だが、ベンソン=アムラム氏は、「注意深く見ると、ハイエナが血にまみれていることがよくあります」と言う。

 つまり、本当はハイエナが獲物を殺し、その死骸をライオンが盗み、ハイエナが奪い返そうとしていることもあるのだ。

文=Liz Langley/訳=堀込泰三

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