【動画】 夜の密猟対策に画期的な秘密兵器が登場

天文学者と生態学者がタッグ、動物種の自動検出も

2018.04.11
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【動画】赤外線技術を使って野生動物の密猟を監視する。(解説は英語です)

 動物と遠くの銀河との共通点はなんだろう。赤外線でとらえれば、どちらも明るく輝いて見えることだ。

 自然保護活動家たちはこの類似点を、密猟者に狙われやすい動物たちの監視に役立てようとしている。赤外線カメラを搭載したドローンを飛ばすことで、夜中でも動物たちを見守れる方法が開発されつつあるのだ。(参考記事:「ドローンはストレス源? 動物保護に課題」

 密猟者がよく活動するのは夜間。暗闇の中で保護官が動物の居場所を見つけるのは困難だが、赤外線カメラを使えば簡単だ。動画の中で、風景はくすんだピンクと紫色に映る。一方、動物や人間のように熱を発するものは黄色く映る。対象物の熱が高ければ高いほど、黄色く輝いて見える。(参考記事:「密漁の取締りに無人機を活用」

 天文学者と生態学者との合同チームは2017年9月、ブッシュマンウサギを探すために南アフリカを訪れた際に独自の実験を行った。ブッシュマンウサギは、世界で最も絶滅が危ぶまれている種のひとつで、これまで確認された個体数はわずか1000匹ほどだ。(参考記事:「ウサギ30匹以上が毒殺される、犯人不明、米ネバダ」

 同チームが約20メートルの高さでドローンを飛ばしたところ、5匹のウサギをカメラで確認できた。

 ドローンを使用した実験は、英リバプール近郊のノーズリー・サファリ・パークとチェスター動物園でも行われた。動画を見れば、サイとゾウたちが明るい黄色の光を放っているので、どこにいるのか簡単にわかる。この実験には「Astropy」という機械学習プログラムも活用されていて、動物種の特定に役立っている。

「銀河が放つ光と同じです」と話すのは、英リバプール・ジョン・ムーア大学の宇宙物理学者クレア・バーク氏。彼女の専門は遠く離れた銀河が放つ熱の研究だが、このソフトを絶滅危惧種の検出に応用した。(参考記事:「木星の南極にサイクロン集団を発見、五角形に並ぶ」

ギャラリー:紫外線に浮かぶ花々、見たことのない妖艶な姿 写真17点(画像クリックでギャラリーページへ)
(Photograph by Craig Burrows)

「動物を検出できれば、その動物の熱的特徴をつかむことができます」と、バーク氏はつけ加える。動物固有の熱的特徴がつかめれば、あとはソフトの学習機能によって、様々な動物を特定できるようになる。

 バーク氏によると、この情報を使えば動物の個体数も正確に把握できるという。現在は人がいちいち数えるか、動物が残した巣などの残存物を調べる方法しかない。

 ドローンを使えば、動物の救助も容易になる。人間の目では見通すことができない霧の中でも、このカメラを使えば熱源の特徴が確認できる。体温が急上昇していれば、その動物が怪我をしているか、病気にかかっている恐れがあることもわかるだろう。

 このソフトのこれまでの活用結果が、欧州天文学界(EAS)の年次総会でこのほど発表された。

 大きな可能性を秘めたソフトではあるが、その能力にはまだ限界がある。湿気に弱く、また気温が高いと動物の居場所を把握しづらくなる。地面が温かいと映像が鮮明に表れないため、動物がはっきりと見分けられないのだ。

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