【動画】カニの背に乗るウニ、トゲの間には魚!

「こんな光景は見たことがありません」と研究者、インドネシア沖

2017.03.29
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【動画】ウニのトゲを盾として利用するキャリアクラブ。キャリアクラブはその名のとおり、身を守るためにウニを背負って移動している。(解説は英語です)

 ウニは風変りな海の生きものだ。

 ウニの多くは、丸い体をトゲに覆われ、どんな深さでも生息できる。そのうえ、トゲを人間の骨折の治療に役立てる研究もある。(参考記事:「ウニは全身が“眼”だった」

 だが、ホモラ科のカニ、キャリアクラブほど、ウニのトゲの真価を認めている生物はいないだろう。このトゲを、わが身を守る盾にしているのだから。(参考記事:「クジラに乗ったイルカほか、動物おんぶ写真を一挙掲載」

 キャリアクラブの2本の黒い後脚はこの種に固有なもので、ゴミでも近くにいる生物でも、海底にあるものなら何でもつかむことができる。身を守るためにウニを背負っている光景はよく見られるが、アカオニガゼ(学名Astropyga radiata)のようなよく動くウニを担いでいる姿は、とても珍しい。(参考記事:「自らを飾る驚異の装飾系動物6選」

「こんな光景は見たことがありません」。パナマにあるスミソニアン熱帯研究所の研究員で、ナショナル ジオグラフィック協会の支援を受けているハリラオス・レシオス氏は言う。レシオス氏によると、この種のカニは、身を守るのに使えそうなものならほぼ何でも背負うらしいが、アカオニガゼは海に生息するウニの中でもかなり動き回る種だ(アカオニガゼを上から見ると、青い点線が放射状に走るオレンジ色のヒトデ形の模様があるので、比較的簡単に見つけられる)。

【動画】捕食を免れるため、ウミウシをつかみ上げて背に担ぐキャリアクラブ。この種は海中の生物を背にのせ、捕食者の目をくらます。(解説は英語です)

 アカオニガゼは群れをなすことが多く、分速数メートルで移動し、レシオス氏の話では狭い区域を歩き回って暮らしている。

「カニに持ち上げられても、ウニがじっとしていたなんて、まったく驚きです」とレシオス氏。カニがウニをしっかりとつかまえられずに、落ちないようにやっと支えているだけの様子を見ると、ウニのほうでも背負われることを受け入れているのだろう、とレシオス氏は考える。

 アカオニガゼ以外のウニにとっても、この関係には、新しい餌場に連れて行ってもらえるという利点がある。キャリアクラブがウニを背負う姿はよく目撃され、「ウニカニ」とも呼ばれている。このカニは捕食者に出くわすと、武器がわりにウニを振りかざすことでも有名だ。(参考記事:「【動画】タコとカニの水中バトルが衝撃の結末に」

 動画を見ると、アマノガワテンジクダイがウニのトゲの間を縫うようにして泳いでいる。このテンジクダイの仲間は長期にわたって、ウニや他の海底に住む生物を仮の宿とすることが多い。ウニのトゲの間に隠れ、捕食者に鋭いトゲの間から引っ張り出されないようにしているのだ。(参考記事:「ノミがハサミムシにヒッチハイク、奇妙な理由」

 一見、ウニは意に反してむりやり背負われているように思われるかもしれないが、この関係は双方にとって都合のよいことが多い。自然界でよくみられる共生関係のひとつだ。(参考記事:「カニがイソギンチャクのクローン作り共生維持か」

 他の種のウニと違い、アカオニガゼの毒は致命的なものではないが、肌を刺されれば、激しい痛みを感じる。ダイバーにとってありがたいことに、このウニは鮮やかで人目に付きやすい色をしているので、簡単に見つけることができる。(参考記事:「日焼け止め、海の生物に有害との報告」

文=Sarah Gibbens/訳=潮裕子

  • このエントリーをはてなブックマークに追加