テッポウエビは「女王」のいる社会、秘密を解明

アリやハチのように社会性をもつエビ、6種300匹以上を調査

2018.03.19
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ギャラリ―:体の中が透けて見えるテッポウエビ 写真6点(画像クリックでギャラリーページへ)
テッポウエビは海洋生物で唯一、ミツバチと同じようなコロニーを築いている。(PHOTOGRAPH BY EMMETT DUFFY, SMITHSONIAN)

消えゆくテッポウエビ

 しかし、生物学者のアンソニー・ゼラ氏は、ボーンブッシュ氏らが進化上のトレードオフの関係を発見したとは考えていない。(参考記事:「戦士か恋人か、戦略「選ぶ」ゴキブリを発見」

 特に実験環境では、「トレードオフの評価は非常に困難です。多くの研究者が考えているよりはるかに困難なはずです」と、米ネブラスカ大学リンカーン校でこうした進化を研究しているゼラ氏は言う。

 ゼラ氏は重要な点として、今回の研究では6つの種しか調べていないこと、すべての種でトレードオフのデータを得られたわけではないことを挙げている。

 ボーンブッシュ氏によれば、本当はもっと多くの種を調べたかったが、真社会性が確認されているテッポウエビは7〜8種しかいないという。(参考記事:「マリアナに新たな熱水噴出孔と深海生態系を発見」

 ボーンブッシュ氏は今後の研究で、テッポウエビはどれくらい生きるか、新たなコロニーはどのように形成されるか、女王が複数いる場合、どのように他のメスの繁殖を抑制するかを調べたいと考えている。

 残念ながら、その時間はないかもしれない。サンゴが世界的に消えているのと同じ理由で、テッポウエビも危機を迎えているらしいからだ。(参考記事:「【動画】白化するサンゴの断末魔、原因は温暖化」

 ボーンブッシュ氏によれば、10年前、テッポウエビはサンゴ礁にある海綿の生息地を支配していたが、現在、その多くが局所的に絶滅しているという。(参考記事:「豪政府がグレート・バリア・リーフの保全策を急募」

 私たちは美しい魚たちを守りたいという理由で、サンゴ礁が失われることを心配しているが、「科学界がとても重要視しているこの小さな生物も影響を受けているのです」

真社会性が確認されているテッポウエビは7〜8種しかいない。(PHOTOGRAPH BY KENNETH MACDONALD, SMITHSONAIN)

【この記事の写真をもっと見る】ギャラリー: 体の中が透けて見えるテッポウエビ あと3点

文=Jason Bittel/訳=米井香織

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