深海魚ハナトゲアシロの奇妙な容貌が話題

ぶよぶよした白いオタマジャクシ?

2016.03.16
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1月からカナダ、ロイヤルBC博物館で展示されているハナトゲアシロ。(PHOTOGRAPH BY ROYAL BC MUSEUM)
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 カナダのブリティッシュ・コロンビア州にあるロイヤルBC博物館に、深海魚ハナトゲアシロが展示され、話題になっている。ハナトゲアシロはアシロ科の一種で、「団子みたいな頭と先細の尾を持つ、見栄えのいいオタマジャクシ」のような魚だと、同博物館で脊椎動物学を担当する学芸員ギャビン・ハンケ氏は言う。(参考記事:「ペルー・チリ海溝の生物:アシロの群れ」

 ドイツの魚類学者アルベルト・ギュンター氏は1887年、この種にAcanthonus armatusの学名を与えた。“Akanthos”はギリシャ語で「とげのある」、“Armatus”はラテン語で「武装した」という意味を持つ。鼻先とえらからトゲが伸びているためだろう。

 展示されている標本は、ブリティッシュ・コロンビア州中部の海岸沖、クイーン・シャーロット海峡で10年前に捕獲された。(参考記事:「深海で「悪夢のような」新種のアンコウを発見」

ゆるやかに泳ぐ

 他の深海生物と同様、ハナトゲアシロの体は「柔らかくてぶよぶよ、骨格は軽く、減少しています」とハンケ氏。食料が少なく水圧の高い深海の環境が、筋肉と骨の生成に影響を及ぼしているのかもしれない。

 また、深海には日光が届かないため、水温は3~4℃と冷たい。そのため代謝が遅く、活発に動くことができないと考えられる。「突発的に速く動くことは可能ですが、(動画からは)怠惰なスイマーに見えます。前進するときにしかフィンを動かしません」

 冷たいところが好きな生物であることを考慮すると、もっと北の海にいてもよさそうなものだが、ハンケ氏によると北の海ではまだ見つかっていないそうだ。

ハナトゲアシロはアシロ科の深海魚。オタマジャクシのような姿をしている。(PHOTOGRAPH BY ROYAL BC MUSEUM)
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 米ワシントン大学フライデー・ハーバー研究所のアダム・サマーズ副所長によると、ハナトゲアシロの生息地は「十分に深いところであれば、ほぼどこにでも。つまり、生息域は海洋中に広がっています」という。

 そうだとしても、クイーン・シャーロット海峡でハナトゲアシロが発見されるのは珍しい。今のところ、この標本以外の発見は記録されていない。(参考記事:「インタビュー:深海生物研究者 藤原義弘」

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文=Liz Langley/訳=堀込泰三

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