絶滅寸前のキタシロサイ、最後のオスが感染症に

世界に残り3頭、必死の努力もかなわず状況は絶望的

2018.03.06
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キタシロサイ最後のオス、スーダン。ケニアのライキピア国立公園内オルペジェタ自然保護区で草をはんでいるところ。2017年5月3日撮影。(PHOTOGRAPH BY BAZ RATNER, REUTERS)
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 世界にあと3頭しか残っていないキタシロサイ。その最後のオスが病にかかり、この動物はまた一歩絶滅に近づこうとしている。(参考記事:「キタシロサイのオス、残りあと1頭に」

 スーダンと名付けられた45歳のキタシロサイは、右後ろ脚のひどい感染症に苦しめられている。同じ後ろ脚は昨年、加齢に伴う病気にかかったが、今回の感染症はその患部の下で起こったものだ。この新たな感染症への治療の効果は見えておらず、キタシロサイの世話をしている人々は、この先痛みが耐え難いほど悪化することがあれば、安楽死させることを視野に入れている。

「必死の努力を続けてきました」とアフリカ野生生物基金会長のカッドゥ・セブニャ氏は言う。「オスのサイが今も苦しんでおり、じきに死んでしまうのかと思うと、心配でたまりません。状況は絶望的です」

 スーダンは最後に残った3頭のキタシロサイのうちの1頭だ。ケニアのオルペジェタ自然保護区で、ファトゥとナジンという2頭の高齢のメスと一緒に暮らしており、24時間常に武装した警備員によって監視されている。サイの寿命は40〜50歳で、3頭ともすでに繁殖年齢を過ぎている。(参考記事:「絶滅寸前、キタシロサイが残りあと3頭に」

スーダンを監視する武装警備員。スーダンは絶滅の危機に瀕する種を救うため、チェコ共和国の動物園からケニアに連れてこられた。(PHOTOGRAPH BY AMI VITALE, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 キタシロサイは、かつてはチャドからコンゴ民主共和国にかけて広く生息していると考えられていたが、その数は減少を続けてきた。1960年代には2000頭を超えていた生息数は、1984年には15頭に激減し、現在ではわずか3頭が残るのみだ。(参考記事:「アフリカのサイ、困難な密猟対策」

絶滅は必至

 生息地の減少と密猟は、何十年も前からアフリカとアジアのサイの生息数を脅かし続けてきた。サイの角は二日酔いに効果があると言われ、またアジアの伝統薬の材料にされることもある。しかしながら、科学者の多くはその効果を否定している。(参考記事:「サイ角の国内取引再開、264本を競売へ、南ア」

「今回の事例は、アフリカが大切な財産を失いつつある現状を如実に表しています」。ウガンダ出身で、現在はケニアのナイロビを拠点に活動するセブニャ氏は言う。「次世代のアフリカの人々に、これをどう説明したらいいのでしょうか。他のアフリカの動物たちを放っておくような傲慢な真似は、もうできません」(参考記事:「血に染まるサイの角」

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【参考動画】密猟で母親を失ったサイに新しい友だちができるまで
南アフリカのピラネスバーグ国立公園で、赤ちゃんサイの母親が密猟者によって殺された。しかし公園スタッフと動物福祉団体の献身と努力により、赤ちゃんサイは安全な家と新しい友だちを手に入れた。(解説は英語です)

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