新種の霊長類を発見、決め手は奇抜な鳴き声

体長16センチのミニ霊長類ガラゴ、鳥のような鳴き声が徐々に大きくなる

2017.03.03
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新種のガラゴは、マグダレナ・スベンソン氏の研究グループがその声を初めて聞いたクンビラの森にちなみ、Galagoides kumbirensisと名付けられた。(Photograph by Elena Bersacola)
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 アフリカ南西部、アンゴラのジャングル奥深くで新種のガラゴが見つかり、米国の学術誌「American Journal of Physical Anthropology」に発表された。ガラゴは丸い目をした小さな霊長類で、ブッシュベイビーとも呼ばれている。

 発見の決め手となったのは、耳の良い研究者たちが突き止めた鳴き声だった。アンゴラ西部のクンビラという森で調査していた研究チームは、その鳴き声がこの森にすむ18種のどのガラゴのものとも違うことに気づいた。

 研究者たちが最終的に特定したのは、体長16センチ弱のガラゴだった。「いまのところ、ガラゴの種を見分ける一番確実な手がかりは、鳴き声の種類です。予期していた鳴き声に当てはまらない声だとわかったときは、とても興奮しました」。英オックスフォード・ブルックス大学の博士課程に在籍し、この研究を率いたマグダレナ・スベンソン氏はメールでそう回答した。

【音声】新種のガラゴの鳴き声。(矢印をクリックするとガラゴの鳴き声が流れます)

 研究チームは、アンゴラ西部の3つの森で何種類かのガラゴの鳴き声を録音し、博物館にある標本の歯やあごと突き合わせた。その結果、頭蓋骨の構造からどのガラゴがどんな声を上げるかを特定できた。しかし、どの頭蓋骨とも一致しない鳴き声が1つだけ残った。

 今回発表された論文によると、新種のガラゴはアンゴラドワーフガラゴ(Angolan dwarf galago)と名付けられた。学名はスベンソン氏らが初めて鳴き声を聞いた森にちなんで、Galagoides kumbirensisとなった。(参考記事:「新種テナガザルを発見、スター・ウォーズから命名」

すでに絶滅が危惧される可能性も

 ガラゴの研究は難しいと、米テキサス大学の人類学者ルカ・ポッジ氏は言う。ガラゴが夜行性であることに加え、生息地の政情も不安定だからだ。(参考記事:「ゾウの密猟急増、テロ集団の資金源」

 夜間の研究ならではの問題もある。ポッジ氏は、アフリカ東部で夜にガラゴを研究している際、ゾウと遭遇したことがある。幸い、ポッジ氏がにらみつけるとゾウは去っていった。

 ポッジ氏は今回の研究には関わっていないが、「すばらしい発見です。ガラゴについて、まだ知らなければならないことがたくさんあることがわかります」と称賛する。

【動画】ヒヒはガラゴのお母さん どこへ行くにもみなしごのガラゴを連れて行く若いメスのヒヒ(解説は英語です)

 しかし、人間の活動によってこの新種の数が減少することになれば、研究はますます困難になる。アンゴラの森林では、商業活動に伴う森林伐採が急速に進んでいる。スベンソン氏によれば、特にクンビラではそれが顕著だ。(参考記事:「アフリカに誕生、世界最大の自然保護区」

「まさにこの森で、この地方に特有な霊長類の新種が発見されたのです。このことは、アンゴラの生態系の重要さを示すとともに、早急に環境保全対策を講じなくてはならないという警告なのです」

 南アフリカ、フォートヘア大学の動物学者であるジュディス・マスターズ氏は、この新種はすでに絶滅の危機に瀕しているのではないかと考えている。農業や資源採掘によって生息地が減少しているためだ。「アフリカ西部では、大規模な環境破壊が進んでいます。本当に悲しいことです」(参考記事:「中央アフリカのゴリラ、10年で絶滅?」

文=Joshua Rapp Learn/訳=鈴木和博

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