【動画】深海エイが熱水噴出孔に卵、温めるためか

ガラパゴスの深海、水温と孵化の関係は謎

2018.02.13
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深海底のオアシス

 1977年に熱水噴出孔が初めて見つかって以来、科学者たちは、カニ、イソギンチャク、軟体動物、エビなどが、この一見住みにくそうな環境に暮らしているのを発見してきた。

 しかし、「そのリストにガンギエイも含まれるとは今まで誰も知りませんでした」と、米カリフォルニア大学サンディエゴ校の海洋生物学教授、リサ・レビン博士は話す。

深海のガンギエイが産み落とした大きな卵は、冷たい水中では孵化に何年もかかることがある。(PHOTOGRAPH BY JULYE NEWLIN, OCEAN EXPLORATION TRUST)
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「熱水噴出孔がどんな機能を持つかは、ほとんどわかっていません。そのため、卵を温めるなどの新たな機能の発見も、とても大きな意味があります」

 興味深いことに、冷水湧出帯の近くでもガンギエイの卵が何度か目撃されているとレビン氏は話す。冷水湧出帯は熱水噴出孔に似ているが、熱は持たず、メタンを放出している。(参考記事:「【動画】水深3800mの深海に奇妙な生物群集」

 サリナス・デ・レオン氏によると、熱水噴出孔から飛び出してくる水は400℃を超えることもあるという。だが、氷点に近い温度の深海の水にぶつかるやいなや、わずか2.2℃に急降下する。

 とはいえガンギエイにとっては、ほんの数℃でも温度の高い部分が噴出孔周辺にあれば、卵の孵化にかかる時間を数カ月、あるいは数年縮めるには十分なのだろうと、サリナス・デ・レオン氏は言う。

 同氏によると、地球の熱を利用して卵を孵化させる動物は、わかっている限りほかにごくわずかしかいない。東南アジアとオーストラリアに生息する、塚状の巣を作る鳥のツカツクリと、白亜紀の恐竜で、巣を作る新竜脚類のグループだ。

深海にも迫る危険

 海底でぶくぶく煮え立つ大がまのような熱水噴出孔は、人間やその活動の影響をあまり受けないだろうと思うかもしれない。だが、これら隔絶された場所も脅威にさらされている。(参考記事:「深海の鉱物開発、可能性と環境への影響」

 熱水噴出孔は今、深海底採掘のターゲットとされているし、石油・ガス業界の企業は、メタンを放出する冷水湧出帯の周囲で採掘を行っている。(参考記事:「海底油田探査で動物プランクトンが大量死の恐れ」

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