白亜紀後期、現在のインド、西ガーツ山脈で激しい噴火が起きた。(PHOTOGRAPH BY FRANS LANTING, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
[画像をタップでギャラリー表示]

 恐竜が絶滅した原因は? 科学界には、謎の多い疑問がいくつかあり、それらは大きな論争を巻き起こしている。現在、ほとんどの教科書や教師が教えてくれるところによると、約6600万年前、ユカタン半島の近くに巨大な小惑星が落下し、地球上に生息していた種の4分の3とともに、鳥類として生き残ることのできなかった非鳥類型恐竜が姿を消した。(参考記事:「小惑星衝突「恐竜絶滅の日」に何が起きたのか」

 しかし、学術誌「Geology」に発表された最新の研究によれば、小惑星が衝突する前に、現在のインドで発生した激しい火山活動により、いくつかの種が絶滅していた可能性があるという。

 この研究結果は、火山の噴火と小惑星の衝突がワンツーパンチになったという主張を後押しするものだ。火山の噴火が最初の一撃となり、気候変動が起きたところで、小惑星の衝突というとどめの一撃がティラノサウルスや白亜紀後期の仲間たちにもたらされたのではないかという説だ。(参考記事:「恐竜絶滅、火山と隕石の複合原因?」

アジア内陸では隕石衝突の前に多く絶滅

 これまで、この大量絶滅に関する地質学的な証拠のほとんどは海の記録で、北米大陸で得られたものだった。だが、中国、北京にある中国地質大学のライミン・チャン氏率いるチームは中国北部の内陸部に目を向けた。しかも、チャン氏らによれば、中国北部は小惑星が衝突したメキシコのクレーターからも、当時大噴火したインドにある古代の溶岩流デカン・トラップからも遠く、2つの出来事が広い範囲にわたる気候にどんな影響を与えたかを調べるのに絶好の場所だという。(参考記事:「恐竜絶滅の決定打はインドの隕石?」

 チャン氏らは、ある古代の湖底の堆積物を分析し、小惑星衝突の数十万年前、一帯の温度が上昇し始めていたことを突き止めた。この温暖化はインドのデカン・トラップで噴火が起きた時期と一致する。つまり、小惑星が衝突した時期よりずいぶん前に、膨大な量の二酸化炭素が放出された可能性が高いということだ(小惑星の衝突が大量絶滅を引き起こしたのは、広範囲に大きな影響を及ぼす場所に落ちたためだと示唆する研究結果も発表されている)。(参考記事:「恐竜絶滅、小惑星の落ちた場所が悪かったせい?」

 小惑星が衝突する前の温度変化に関するデータは世界中に存在するが、チャン氏らはさらに驚くべきことを発見している。古代の堆積物に含まれていた化石の多くが、このときの温暖化と同時期に姿を消していたのだ。この地域での絶滅の3分の2が、火山の噴火後、小惑星が衝突する前に起きていた。

 研究に参加した英リーズ大学の古生物学者ポール・ウィグナル氏によれば、今回の研究結果は、火山の噴火が気候を不安定化し、世界的な大惨事の下地になったことを証明しているという。

「私たちの論文によって、振り子は火山噴火説の方向に少し傾きました」

次ページ:「恐竜は本当に不運でした」

【動画】恐竜は1億6000万年以上にわたって地球を支配した。しかし、恐竜がどのように生き、死んだかについては謎が多い。恐竜時代についてわかっていること、まだわかっていないことを紹介しよう。(解説は英語です)

おすすめ関連書籍

恐竜がいた地球

2億5000万年の旅にGO!

『ナショナル ジオグラフィック別冊』シリーズの第6弾。

定価:本体1,400円+税