写真レポート:チリ史上最悪の森林火災

気候変動の影響か、チリ中部を襲った猛火10点

2017.01.31
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1月23日、チリ中南部ビオビオ州フロリダの町の火災の鎮火に努める消防士たち。 (Photograph by Juan Gonzalez, Reuters)
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 南米チリで発生した史上最大規模の森林火災は、ブドウ園や農地が広がる同国中部に甚大な被害を及ぼした。人口4000人の町サンタ・オルガが完全に焼失したほか、77カ所、約30万ヘクタールが焼失した。(参考記事:「気候変動でワイン産地が移動する?」

 これほど被害が拡大したのは、さまざまな要因が重なったためだ。南米は夏で異常なほど気温が高かったことに加え、干ばつ、最小限の消火設備しかなかったことも背景にある。

 政府の火災への対応については、猛烈な批判が寄せられている。対応が遅さかった上に、今回のように大規模な非常事態に対処できるだけの十分な設備がなかった。消防飛行機の半分が、保守整備不良や故障が原因で使い物にならなかったのだ。(参考記事:「山火事の現場で活躍する最新技術」

 引き合いに出されているのが、2009年にオーストラリアで発生した大規模な山火事だ。「異なっている点は、オーストラリアでは火事は生態系の一環に組み込まれているということです。雨と同じく、自然のサイクルなのです」。そう語るのは、アルトス・デ・カンティラーナ自然保護区のコーディネーター、フェルナンダ・ロメロ氏だ。この地区も現在、山火事に脅かされている。(参考記事:「気候変動の象徴:コアラ」

「多くの植物種が、生育に欠かせないほど火事に適応しています」と、ロメロ氏は付け加える。「しかし、チリ中部では事情が違います。火事が起こるたびにとても貴重な自生地が破壊されてしまうのです」

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 チリ政府はすでに山火事の原因究明に取り組んでいるが、過失と見られる件もあれば、故意による放火と見られる件もあるという。消防士がペレット銃による正体不明の襲撃を受けたとの報告も上がっている。(参考記事:「カリフォルニア山火事、95%は人為的」

 しかし山火事の発生原因もさることながら、どうしてこれほどまで被害が拡大したのか、その根本的原因についても激しい議論が交わされている。現在、真夏のチリは、史上最悪の猛暑に見舞われている。8年前から干ばつが続いている上に、風が強く、空気も極端に乾燥しているため、炎が広がる条件としては完璧だったといえる。(参考記事:「特集:地球の悲鳴 温暖化で加速する山火事」

 マツとユーカリが広範囲にびっしりと植林されていることが、干ばつを悪化させたと考える学者もいる。これらの木々は多くの水を必要とするせいで、大量の地下水を吸い上げてしまったのだ。さらに、マツとユーカリは、樹脂を多く含んでいて引火しやすく、特に燃えやすいと、植物学者でチリの植生についての著作もあるセバスチャン・テイリア氏は言う。

「安全面から考えるともともと危険な状態にあり、あとは大きな火花が起こるだけという状況だったのです。30℃を超える日が2週間続いたことが、引き金になりました」とテイリア氏は言う。「地球の気候変動がすでに私たちをとらえ、その状態が続く証拠なのかもしれません。もしそうなら、企業や政府、地域社会は、産業的な植林(プランテーション)のあり方を大幅に見直す必要があります」(参考記事:「森林火災が地球におよぼすこれだけの影響」「豪の猛暑、気候変動の前兆?」「山火事の煙害が広域化、死者は年間34万」

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