【動画】世界最大の水中洞窟を探検しよう
メキシコのユカタン半島の都市トゥルムの近くで世界最大の水中洞窟が発見された。この発見は、以前から知られていた2つの水中洞窟が、全長346キロの1つの洞窟であることが明らかになったものだ。(解説は英語です)

 2018年1月10日、大マヤ帯水層プロジェクト(GAM)の水中探査チームが、10カ月に及ぶ調査の結果、メキシコのユカタン半島にある「サック・アクトゥン」と「ドス・オホス」という2つの大規模な水中洞窟系がつながっており、全長346キロの世界最大の水中洞窟になっていることを発見した。(参考記事:「チェコの水中洞窟、深さ世界一の可能性」

 ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでGAMのディレクターでもあるギレルモ・デ・アンダ氏は、「この巨大な洞窟は、世界で最も重要な水中考古学遺跡の一つです。アメリカ大陸に最初に定住した人々や、絶滅した動物や、もちろんマヤ文明のものなど、100点以上の考古学的遺物があるのです」と言う。(参考記事:「アメリカ大陸 最初の人類」

 今回の探査は、2017年3月に、GAMの探査ディレクターであるロバート・シュミットナー氏と洞窟専門ダイバーのチームが開始したもの。シュミットナー氏は、14年間にわたって2つの洞窟がつながっている場所を探しながら、この水の迷宮の地図に多くのトンネルや回廊を描き込んできた。(参考記事:「水中洞窟を探査するダイバー(メキシコ)」

 これまで世界最長の水中洞窟とされていたのは、メキシコ、トゥルムの南に位置する全長269キロの「オックス・ベル・ハ洞窟系」。トゥルムの北東に位置するサック・アクトゥンは、約262キロで第2位だった。

 第3位は全長92キロの「コール・バアル洞窟系」で、第4位が約83キロのドス・オホス洞窟系だった。今回、詳細な探査が行われた結果、このドス・オホスがサック・アクトゥンの一部とされることになった。

 規則により、2つの洞窟系がつながっていることが明らかになった場合には、大きい方の洞窟が小さい方の洞窟を吸収することになるため、ドス・オホスの名前は消滅することになる。

 次の目標は、サック・アクトゥンが、同じトゥルム市にあり、互いに近接しているほかの3つの水中洞窟系とつながっているか明らかにすることだ。

 メキシコ、キンタナ・ロー周辺の洞窟の調査を行っている「キンタナ・ロー洞窟調査」(Quintana Roo Speleological Survey)のデータによると、メキシコ北部には358の水中洞窟系があり、その内部には約1400キロに及ぶ淡水路があるという。(参考記事:「特集:水中洞窟 隠された「過去」」

「すべてのセノーテの母」

 GAMの探査チームは今回の探査で、「すべてのセノーテの母」と呼ばれる全長約18キロの重要な洞窟系も発見した(セノーテとは、天然の陥没井戸で、古代マヤの人々にとって神聖な意味のあった場所)。この洞窟は最大で約20メートルの深さがあり、サック・アクトゥンの北に位置している。これまでわかっているかぎりでは独立した洞窟系のようだが、これもサック・アクトゥン洞窟系につながっているかもしれない。(参考記事:「セノーテ マヤの聖なる泉」

「私は20年以上をかけて、主にキンタナ・ロー州の地下に広がる数百キロの水中洞窟を調べてきましたが、そのうちの14年間は、この巨大なサック・アクトゥン洞窟系の探査に捧げました。探査は今後も皆で続けていかなければなりません」とシュミットナー氏。

 長さ数百キロの地下水路は本物のタイムトンネルでもあり、はるか古代から近年までのメキシコの歴史を保存している。(参考記事:「マヤのピラミッドに科学のメス、謎を解明へ」

生物多様性の宝庫

 今回の発見は、ユカタン半島の巨大な洞窟系で暮らす生物の多様性や、太古からこの地域の生命を育んできた豊富な淡水の存在を確認した点でも貴重である。(参考記事:「絶滅ナマケモノの化石、水中洞窟で見つかる」

 水中洞窟の底土や生物多様性、そして人間との関係などを解明しようとするGAMの取り組みによって、この帯水層が天然資源に及ぼす影響を正しく理解できるようになるはずだ。

 プロジェクトは次の段階として、サック・アクトゥン洞窟系の水質の分析や、生物多様性や種の保全に関する研究を予定しており、水中遺物の地図と詳細な記録の作成も継続する計画だ。

【参考ギャラリー】海底で眠るタイタニック号、写真9点(写真クリックでギャラリーページへ)
北大西洋の海底で眠るタイタニック号の錆びついた船首部分。(PHOTOGRAPH BY EMORY KRISTOF, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

文=ナショナル ジオグラフィック/訳=三枝小夜子