写真ルポ:高温地域で新要因による腎臓病が増加

インドや中米で慢性腎臓病に苦しむ人々が増えている

2016.06.07
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インド、ウチャパリで黒い全粒穀物を収穫する人々。「非伝統的原因による慢性腎臓病」(CKDnT)の拡大は、猛暑の中の農作業が一因とみられる。(PHOTOGRAPH BY ED KASHI, VII)
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 中米とインドの農村で、腎臓の機能がゆっくりと失われていく慢性腎臓病(CKD)が広がりつつある。先進国の場合、慢性腎臓病を引き起こす原因は糖尿病や高血圧であることが多い。ところが、中米ニカラグアやインドの農民に見られる腎臓病には、別の要因があるようだ。そのため研究者たちは、これらの地域に見られる腎臓病を「非伝統的原因による慢性腎臓病」(CKDnT)と呼ぶ。CKDnTの原因にはまだ不明な点もあるが、熱ストレスや脱水症状に繰り返し陥ることが原因で発症している可能性が高い。

インド、ネロールのナラヤナ医科大学で透析を受ける子ども。CKDnTが進行した患者は、毎週透析を受けなければならない。(PHOTOGRAPH BY ED KASHI, VII)
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 正常な腎臓は、血液をろ過して老廃物を体外に出し、体を健康に保つ役割を果たしている。ところが腎臓を患いCKDnTが進んだ患者は、透析を毎週受けて生命を維持しなければならない。透析治療には血液を人工的にろ過する特殊な機器が必要だが、インドのアーンドラ・プラデーシュ州やタミル・ナードゥ州では、費用が高すぎる、あるいは医療機関が遠すぎるという理由で透析に通えない人が少なくない。

 写真家で映画制作も手掛けるエド・カシ氏は、医師や研究者、科学者らの取り組みに協力しようと、中米とインドでCKDnTの現状を写真や映像に収めてきた。病気とその影響について、カシ氏に話を聞きつつ、ここではインドで撮影された写真を紹介する。

CKDnTを患う夫を自宅で看護する妻。ネロール郊外のコタ村で。(PHOTOGRAPH BY ED KASHI, VII)
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――インドとニカラグアでは、CKDnTの発生状況は異なるのですか?

 大きく違います。中米の患者は主にサトウキビ農場の労働者です。刈り取った量に応じて賃金が支払われるので、彼らは猛暑の中でも働ける限り働きます。インドの農家は自分で一定区画の土地を所有するか借りるかしていて、誰に命じられることもないため、調子の良くない日は休めます。中米では多くの人が過労から体調を崩し、それが腎臓病の進行を早めています。(参考記事:「取材現場から:ニカラグアの子どもたちに給食を」

 今分かっている限りでは、中米に比べるとインドの方が患者発生率は低いです。ただし、誤診のケースや病気が報告されていないケースも考えられます。インドでは、治療費が出せない、あるいは医療機関に行く手段がない人がたくさんいますから。

――インド政府はどのように対応しているのですか?

自宅の外に立つ、CKDnT 患者の10代の少女。(PHOTOGRAPH BY ED KASHI, VII)
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 インド政府は、透析ができるクリニックを建設しています。うまく行っているかどうかは私には判断できませんが、政府は問題解決に向けて確実に動いています。一方、多くの農村地帯では、透析クリニックの数が足りないし、遠すぎるという強い不満を人々が抱いていることも確かです。

――この病気は人々の暮らしにどのように影響しているのでしょう?

 治療にかかる金銭的負担は莫大です。取材した多くの世帯は、CKDnTに生活そのものを蝕まれている状態にありました。

インド、ヴィシャーカパトナムの病院で、CKDnT患者の治療に当たる医療スタッフ。(PHOTOGRAPH BY ED KASHI, VII)
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 ある家では、40代の稼ぎ手が働けなくなり、学校に通えなくなった娘が自殺未遂を起こしました。息子も学校に行けず、この患者が週3日の透析に通えるよう、家族だけでなく村の人々までが面倒を見ている状況です。

 また、ある村では、120人余りもの女性が夫をCKDnTで亡くしていました。生活費を稼ぐため必死に働くうち、体を壊しつつある女性もいました。(参考記事:「世界の貧困対策、カギは農村と女性」

インド、バリパトゥーガにて、乾いた田に座り込む男性。(PHOTOGRAPH BY ED KASHI, VII)
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――この病気が農村に蔓延するのを防ぐには、何が必要なのでしょうか?

 端的に言うと、休息と水、それに日陰です。酷暑の中で長時間働く農村の人々は特に、一定のペースで水分補給をしなければなりません。過酷な労働で汗をかくと脱水状態に陥ってしまいますから、休憩しないと腎臓に異常をきたしてしまいます。日光を遮る覆いも必要です。

 いずれも、特に費用のかかるものではなく、簡単に実施できる対策です。人々が働く環境をいかに整えるか。それは私にとって人権を守ること、人権問題なのです。

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