【動画】ワシとコブラの一騎打ち、勝ったのは?

南アフリカのクルーガー国立公園で珍しい対決を観光客が撮影

2016.04.12
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【動画】腹を空かせたワシと、毒を持つコブラの対決。襲いかかろうとするワシにヘビが応酬する。果たして最後に勝つのは?

 南アフリカ共和国のクルーガー国立公園で、ワシとコブラが対決する様子が撮影された。撮影したのは、観光で訪れていた同国在住のマシュー・マクリーシュさんとキャサリン・ファン・アイクさん。その動画は4月5日にウェブ上にアップロードされた。

「すごい映像です!」と、南アフリカ、ケープタウン大学の行動生態学者ローエン・ファン・イーデン氏も感嘆した。同氏はナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーで、クルーガー国立公園にいるワシについて研究している。(参考記事:「ワシの背中にカラスが! なぜこんなことに?」

 ファン・イーデン氏によると、このような小競り合いが目撃されるのは珍しく、まして撮影された例はほとんどないという。マクリーシュさんとファン・アイクさんは、撮影時の様子をこう記している。「ワシとコブラは音もなくお互いの周りを回っていましたが、力強いワシが毒を持つコブラに攻撃を仕掛けようとしました。ところがコブラが毒を吐きかけると、ワシは驚いて羽をばたつかせました。その後も両者のにらみ合いが続きましたが、最後にはワシが負けを認め、飛び去って行きました」

 この鳥はおそらくチャイロチュウヒワシで、スナウテッドコブラを捕食しようとしたのだとファン・イーデン氏は説明する。南アフリカの爬虫類学者、ヨハン・マレ氏によると、のどに特徴的な暗い色のしま模様があることから、ヘビはスナウテッドコブラだと思われる。(参考記事:「カワウソ、昼食にアリゲーターを襲う」

 撮影者はコブラが毒を吐きかけたと言うが、ファン・イーデン氏とマレ氏はいずれも「攻撃するふりをしただけ」とみる。スナウテッドコブラは普通、毒を吐きかけることはないからだ。

 チュウヒワシ属でも最大のチャイロチュウヒワシは、大きな個体だと体重2.4キロ、両翼を広げると1.6メートルにもなる。「チャイロチュウヒワシは普通、獲物を丸ごと食べてしまいます。猛毒を持つことで知られるブラックマンバなど、最強クラスの毒ヘビも捕食した例が記録されています」とファン・イーデン氏。(参考記事:「ブラックマンバの毒から鎮痛剤を開発?」

 スナウテッドコブラは長いもので体長2.5メートルにもなり、神経系を攻撃する強力な神経毒を持つ。人間がかまれれば、命にかかわることもある。

「人間に目撃されることはあまりありませんが、ワシとヘビの戦いは割とよくあります」と話すのは、保全生物学者のルーク・ダラー氏だ。ナショナル ジオグラフィック協会の大型ネコ科動物の保護プロジェクト「ビッグキャッツ・イニシアティブ」の責任者で、アフリカでの活動も多い。目にする機会が少ないのは、チャイロチュウヒワシが近年減っているという事情もある。過去20年間で、個体数が約半分に減っているのだ。

 ダラー氏は、「見たところ、コブラはもう疲れているか、何らかの傷を負っているようです。動きが鈍いですから」と付け加えた。


【動画】こちらも息詰まる戦い。インド南部で撮影された伝統の一戦、コブラ対マングース。(音声は英語です)

 チュウヒワシ属は普通、止まり木など高い位置から急降下して獲物を攻撃する。勢いをつけて獲物に打撃を与え、鋭いかぎ爪でダメージを与えるのだ。だが、ワシはヘビの毒に免疫がなく、その牙を避けるにはスピードとパワーに頼るしかない。さらに、ヘビに巻きつかれるという危険性もあり、そうなればコブラに逆襲されてしまう。そこでワシは、コブラを十分に疲れさせてから後頭部に打撃を加えるという作戦を取ることが多い。毒ヘビと戦った後、脚が壊死してしまったチュウヒワシが目撃されることもある。

 米アリゾナ大学の生態学者でヘビが専門のマット・グード氏は、「動画のワシはかなり慎重に見えます」と言う。グード氏もナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーの1人だ。「誰だって毒ヘビにかまれたくはないですからね」

文=Brian Clark Howard/訳=高野夏美

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