全くの新種と思われる青白いタコ。(PHOTOGRPAH BY NOAA)
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 米国ハワイ諸島沖の深海で幽霊のようなタコが見つかった。米海洋大気局(NOAA)の調査船オケアノス・エクスプローラーに搭載された遠隔操作無人探査機(ROV)が、水深約4300メートルの海をゆっくりと泳ぐ青白い頭足類を撮影したのだ。(参考記事:「幽霊タコ、南極沖の熱水噴出孔」

 米スミソニアン協会で働くNOAAの動物学者マイケル・ベッキオーネ氏は、オケアノス・エクスプローラーから送られてくるライブ映像を見て、興奮せずにはいられなかった。「科学文献に記録されている、どの生物とも違うものでした」

 この生物は新種である可能性が高いだけでなく、別の意味でも類まれな存在だ。タコなどの無脊椎動物が属する八腕目で、ひれを持たない種がこれほど深い場所で見つかったことはない。ベッキオーネ氏は、ダンボオクトパスなど、深海に生息する八腕目のほとんどにはひれがあるという。(参考記事:「深海の新種:キュート・ダンボ」

【動画】深海でひっそり暮らす幽霊のようなタコ:ハワイ沖の海、水深4000メートル超の場所で、新種と思われるタコが発見された。映像を見た科学者たちが驚きをあらわにしている。(音声は英語です)Video courtesy NOAA Office of Ocean Exploration and Research

深海での暮らしに適応

 オケアノス・エクスプローラーから送られてきた短い映像しか手がかりはないものの、この奇妙な生物が深海での暮らしに適応していることは明らかだ。

 まず、このタコにはほとんど筋肉がなく、ゼラチンのように柔らかい。深海は食べ物が乏しく、筋肉を発達させるには多くのエネルギーを必要とするため、このような体が適している。(参考記事:「南極の深海で“雪男ガニ”を発見、白く剛毛生やす」

 青白い幽霊のような外見は、色素胞と呼ばれる色素細胞がないためだ。光の届かない深海では、色素細胞は役に立たない。しかし、小さな目はおそらく機能しているとベッキオーネ氏は分析する。「ROVが近付くと、タコは上の方へと逃げて行きました。ROVの光か、水の振動に反応したのでしょう」。深海には発光する動物も多い。(参考記事:「光る生き物の世界」

 今回の発見で、「深海にどのような生物が暮らしているか、あまりわかっていない」ことが示された。「深海を探査するたびに、思いがけない動物が見つかる」からだ。「中でも、頭足類には最高に興奮します」とベッキオーネ氏は述べている。(参考記事:「4年5カ月、卵を抱き続けた深海のタコ」

奇妙で神秘的なガラパゴス沖の深海の写真10点

文=Christine Dell'Amore/訳=米井香織