世界最速のチーター死す、走る姿をもう一度動画で

動物園で安楽死、100メートル5秒95の勇姿

2016.01.28
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【動画】世界最速のランナー:ハイスピードカメラがスローモーションでとらえた、2秒間分のチーターの疾走。その一挙一動がくっきりと見える。

 静止した状態からスタートする100メートル走で、世界記録を作ったチーターのサラ。ナショナル ジオグラフィックも撮影していたサラが、先週、米シンシナティ動物園で安楽死の処置を受けた。(参考記事:「チーターのサラ、100Mを5秒95」

 15歳になったサラは、QOL(クオリティー・オブ・ライフ:生活の質。いきいきと毎日を過ごせているかという概念)が低下し続けていた。チーターの平均寿命は8〜12年だ。

「サラは寿命をまっとうし、チーターという種の理解を広める大使として、立派に務めを果たしました」と、シンシナティ動物園が実施している「キャット・アンバサダー・プログラム」の主任トレーナー、リンダ・カスタネダ氏は言う。「サラは活力に満ちた元気な子で、私たちにいろいろなことを教えてくれました。もう、あのお姫様に会えないのは寂しいです」

陸上で世界最速のサラ。2012年に世界最速記録を樹立したときの勇姿。
[画像のクリックで拡大表示]

 2012年の撮影時、当時11歳だったサラの走りをレーダーで測定したところ、最高時速は98キロだった。100メートル走では5秒95をマークした。これに比べると、オリンピック選手のウサイン・ボルト氏が出した9秒58という世界記録でさえ、ずいぶん遅く感じられる。

 この世界記録はシンシナティ動物園が設置した全米陸上競技連盟(USATF)の認定コースで出されたもので、100メートル走において地球上のあらゆる生物の記録をしのいでいた。ナショナル ジオグラフィック誌の写真編集者、キム・ハバード氏は当時、こう語っていた。「サラはまるで水玉模様のミサイルのようだった。あれほど速く走る生物は見たことがありません」

 チーターは背骨が柔軟で、そこから生み出される歩幅は7メートルにもなる。高速で走るには完璧な体だ。さらに硬い爪がスパイクのような役割を果たす。(参考記事:「チーターの狩猟能力、速度より加速力」

 サラの5秒95という世界記録は、人間からすると驚異的に思えるが、引き締まった体で、腹をすかせ、自分や子供たちが生き延びるためにアンテロープを追いかける野生のチーターは、これよりもはるかに速いスピードで走っているはずだ。

 その速さをもってしても、チーターは絶滅の危機から逃れられずにいる。1900年にはアフリカとイランに約10万頭生息していたが、現在は9000~1万2000頭に数を減らしている。その主な原因は、獲物となる動物とすみかが大幅に失われたことだ。(参考記事:「フォトギャラリー:追い詰められるチーター」

 国際自然保護連合(IUCN)は絶滅の恐れがある生物として、チーター全体を「危急種(Vulnerable)」に、その中でもイランとアフリカ北西部にわずかに生息する亜種を「近絶滅種(Critically Endangered)」に指定している。

文=Christine Dell'Amore/訳=北村京子

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