1300個、18倍の銀河を一度に発見、新電波望遠鏡

建設途上の南アフリカのミーアキャット電波望遠鏡

2016.07.22
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電波望遠鏡ミーアキャットによる発見の1つ、高速粒子のジェットを噴き出す巨大ブラックホール。(Photograph by MeerKAT)
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 宇宙の既知の銀河の数が一気に18倍に跳ね上がった。

 多数の巨大なパラボラアンテナを相互に接続した南アフリカ共和国のミーアキャット(MeerKAT)電波望遠鏡は、現在もまだ建設中だ。しかし、天文学者たちは、その驚くべき性能の一端を垣間見ることができた。今まで70個の銀河しか発見されていなかった領域で、1300個もの銀河が写った詳細な画像をとらえることに成功したのだ。(参考記事:「宇宙誕生を見つめるアルマ望遠鏡」

「現在のところ、設置されているパラボラアンテナは計画されている64基のうち16基だけです。それでもミーアキャットは南半球いちの性能を持つ電波望遠鏡になっています」。南アフリカ共和国のナレディ・パンドール科学技術大臣は、7月18日に行われた記者会見でそう語った。

 2017年後半に完成すれば、ミーアキャットの集光面積は1万7000平方メートルを超える。この電波望遠鏡は、人口が少なく、ケープタウンに近いため建設費や維持費を抑えることもできるという理由で、南アフリカの北ケープ州に作られている。

 ミーアキャットは、すでに2億光年離れた激動する宇宙の姿を高解像度で撮影することに成功している。その1つが、銀河の中心で2つの高速粒子ジェットを噴き出す巨大ブラックホールの画像だ。これらの画像は天文学者たちを驚かせることになった。(参考記事:「星を食らうブラックホール」

「結果を聞いて興奮しました」と米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校の天文学者、マイケル・リッチ氏は話す。「電波波長を使うと、低コストで深く、早く観測できます」

まだほんの一部に過ぎない

 リッチ氏によれば、ミーアキャットの画像は、宇宙という最後のフロンティアのほんの一部だけを切り出したものに過ぎない。

「ハッブル望遠鏡で同じ場所を観測すれば、おそらく何十万個もの銀河が見えるはずです」とリッチ氏。「可視光線を使う方がはるかによく見えるからです」(参考記事:「宇宙最大のブラックホールをもつ銀河を撮影」

 しかし、活発な“電波銀河”の観測は、ミーアキャットのような望遠鏡の方が適している。電波銀河とは、中心に超大質量ブラックホールがあり、数百万年にわたって高エネルギーを放出し続ける銀河をいう。このような銀河の観測には電波望遠鏡が最も適している。(参考記事:「太陽の120億倍、説明不能なブラックホール発見」

「電波銀河の中には、大量の塵に覆われているものもあります。そういった銀河は、光学望遠鏡ではほとんど、あるいはまったく何も見えません。しかし、電波は塵を通り抜けるので、何の問題もなく観測できるのです」(参考記事:「21年後に巨大ブラックホールが衝突へ」

電波波長で観測したミーアキャットの画像。点のひとつひとつが遠く離れた銀河。(Photograph by MeerKAT)
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 リッチ氏は、COSMOSという国際研究プロジェクトに参加している。なぜ宇宙の銀河は無秩序に分散しているのではなく、大規模な構造を持っているのかを15年間にわたって研究しているプロジェクトだ。

「私たちは、世界中のあらゆる大望遠鏡を使ってこのテーマに挑んでいます」。リッチ氏が観測している領域では、200万個以上の銀河が見つかっている。「私たちは電波を使って綿密に観測してきましたが、ミーアキャットがここまで強力であるなら、ぜひ私たちの観測ポイントも見てみたいものです」(参考記事:「重力波を生んだ太古のブラックホール衝突を解明」

 やがて、ミーアキャットはスクエア・キロメートル・アレイ(SKA)と呼ばれる南アフリカとオーストラリアにまたがる数千個のパラボラアンテナ網の一部となる予定だ。これが完成すれば、今までよりも1万倍以上早く観測できるようになる。(参考記事:「正しい宇宙人の探し方~SETIの話」

 しかし、今はまだミーアキャットだ。この名前は、南アフリカ近郊に生息する愛らしいマングース科の動物にちなんでつけられた。ミーアキャットには、まわりの様子をうかがうために、ときどき空を見上げる習性がある。(参考記事:動物大図鑑「ミーアキャット」

文=Mark Strauss/訳=鈴木和博

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