乾燥タツノオトシゴ800万匹を押収、ペルーの港で

アジア行きの船舶、精力増強の薬に利用か

2016.07.07
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ペルー当局が2012年に押収した乾燥タツノオトシゴ。中国などで伝統薬としての需要があり、アジアに向けて運ばれる途中だった。(PHOTOGRAPH BY ERNESTO BENAVIDES, AFP/GETTY)
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 ペルー当局は4年前、首都リマの空港付近で、違法取引業者が路上に放置した乾燥タツノオトシゴ1万6000匹を押収した。これも決して少なくはない数だったが、先日、リマのカヤオ港で押収された乾燥タツノオトシゴは実に800万匹にのぼり、同国内での押収量としては史上最多を記録した。(参考記事:「1.3億円相当、センザンコウのウロコ4トン押収」

 ニュースサイト「Channel NewsAsia」の報道によると、6月7日に発見されたこのタツノオトシゴは、中国の旗を掲げたアジア行きの船に積まれていたものだという。船長は、闇市場で400万ドル近い価格で取引される積荷の密輸に関わったとして逮捕された。

 タツノオトシゴは、細長く伸びた口先や馬のような頭部が特徴的な魚の仲間だ。風変わりなのは見た目だけではない。メスの代わりにオスが子どもを産む唯一の動物でもある。交尾の際に、メスはオスの育児嚢(いくじのう)に卵を産みつける。オスはこれを受精させ、卵が無事に孵化するまで育児嚢の中で保護する。(参考記事:「オスが出産、タツノオトシゴの健気な愛の営み」

精力増強の薬に

 国際自然保護連合によると、タツノオトシゴには40以上の種が存在し、今回押収されたパシフィックシーホース(学名:Hippocampus ingens)は最大の種で、体長30センチに達することもある。米国西海岸からペルーにかけての熱帯および温帯の海に生息するが、捕獲するのは違法行為だ。11種が絶滅危惧種や危急種に指定され、それ以外の種もすべてワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の保護対象となっている。

 にもかかわらず、タツノオトシゴを土産物として、あるいは伝統薬の材料として売ろうとする者は後を絶たない。中国では、タツノオトシゴは600年前から精力増強の薬として珍重されている。台湾の「Taipei Times」紙によると、タツノオトシゴは酒やスープに入れて食されることもあるという。毎年、推定で2400万匹が海で捕獲され、市場で売買されている。

 こうした商取引のほかにも、タツノオトシゴは生息地の喪失や、エビ漁のトロール網による混獲などにも苦しめられている。(参考記事:「海洋哺乳類の“混獲”、米で規制強化」

This story was produced by National Geographic’s Special Investigations Unit, which focuses on wildlife crime and is made possible by grants from the BAND Foundation and the Woodtiger Fund. Read more stories from the SIU on Wildlife Watch. Send tips, feedback, and story ideas to ngwildlife@ngs.org.

文=Jani Actman/訳=北村京子

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