ソーラーインパルス2、初の大西洋横断へ離陸

ニューヨークからスペインまで90時間の飛行に挑戦

2016.06.21
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ソーラーインパルス2は、太陽エネルギーによる世界一周に少しずつ近づいている。(Photograph Courtesy Solar Impulse)
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 米国時間の6月20日早朝、すべての動力を太陽エネルギーでまかなう飛行機ソーラーインパルス2が米国ニューヨーク市を離陸、スペインのセビリアへ向かった。太陽エネルギーのみを動力とする飛行機で大西洋を横断するのは史上初の挑戦となる。この区間の予想飛行時間は約90時間。ソーラーインパルス2による世界一周計画の中でも、大きな難関として立ちはだかる区間だ。

 操縦桿を握るのは、スイス人の飛行家で精神科医でもあるベルトラン・ピカール氏。ソーラーインパルス2は超軽量のため風の影響を非常に受けやすく、当初は19日に出発する予定だったが、悪天候のため延期されていた。

 同機が世界一周の挑戦をスタートさせたのが2015年3月9日。アラブ首長国連邦のアブダビを出発し、当初は2015年中に戻ってくる計画だった。必要な総飛行距離は 3万5000キロメートルにおよび、ピカール氏とスイス人起業家のアンドレ・ボルシュベルク氏が区間ごとに交代で操縦席につく。(参考記事:「ソーラー飛行機、世界一周の旅に挑戦」

 必要なエネルギーはすべて機体の上部に並ぶ1万7000個のソーラーパネルでまかなう。他の燃料は一切使わない。この太陽電池でプロペラを回しつつ、夜間飛行用のバッテリーを充電する。

 6月11日には、米国ペンシルベニア州リーハイバレーから5時間のフライトを経てニューヨークに到着した。旅程を細かい区間に分け、頻繁に着陸しているのは、機体、とくにバッテリーの修理を行うためだ。これまでに気候条件による遅れも何度か発生している。(参考記事:「世界一周ソーラー機が名古屋に不時着、36時間後の決断」

 飛行中にパイロットが戦わなければならないのは疲労だ。1日あたりの休憩時間はわずか3時間。しかも1回あたりの休憩は自動操縦で飛行する20分間に限られる。

 それでもピカール氏は、世界一周を実現して「エネルギー効率と太陽エネルギー、そして最新技術が不可能を可能にする」ことを証明したいと話している。(参考記事:「【動画】スローな無人運転バス、ギリシャで試験運行終える」

文=Brian Clark Howard/訳=鈴木和博

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