珍写真「クラゲに入った魚」が話題、専門家に聞いた

なぜ入ったのか? クラゲの種類は?

2016.06.10
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2015年12月、オーストラリアのバイロン・ベイで撮影された衝撃的な写真。(PHOTOGRAPH BY TIM SAMUEL)
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 半透明のクラゲに閉じ込められた魚の写真が話題になっている。(参考記事:「キツツキに乗って空を飛ぶイタチ、写真はホンモノ?」

 撮影されたのは2015年12月。水中写真家のティム・サミュエル氏とフラニー・プラムリッジ氏がオーストラリア東海岸のバイロン・ベイで素潜りしていたときに、この不思議な光景を発見。サミュエル氏が写真を撮影し、写真共有サービスのインスタグラムに投稿した。

 2016年6月になって、ほかのアカウントやサイトで取り上げられることで一気に広がった。「今朝、電話がうるさくて目が覚めました。私が撮影した写真の1枚が再投稿されたためです」とサミュエル氏はインスタグラムに書いている。「この小さな魚がこれほど注目されるなんて」(参考記事:「クジラの背に乗るアシカの写真が話題」

奇妙なカップル。(PHOTOGRAPH BY TIM SAMUEL)
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 サミュエル氏はもう何年も海洋生物の写真を撮影しているが、「このような光景は見たことがありませんでした」と話す。尾がクラゲの体から突き出ていたため、魚はクラゲと一緒に前進することは可能だった。2人が観察していた20分ほどの間、魚とクラゲが合体したこの生き物は円を描きながら、ふらふらと泳いでいた。魚がクラゲの体内で暴れると、クラゲは左右にバランスを崩した。動きが止まることも何度かあった。

 一連の出来事を写真に収めると、2人はカメを撮影するためにその場を去った。サミュエル氏はCNNの取材に対し、「もちろん自由にしてあげたいと思いましたが、結局、自然に任せたほうがいいと判断しました」と語っている。(参考記事:「深海魚ハナトゲアシロの奇妙な容貌が話題」

【動画】深海の奇妙な光るクラゲ
マリアナ海溝調査中、水深3700メートルのエニグマ海山で見つかったCrossota属のクラゲ。傘の中の赤い部分は胃袋から枝分かれした放射管で、黄色い部分は生殖腺とみられる。(Video Courtesy The NOAA Office of Ocean Exploration and Research, 2016 Deepwater Exploration of The Marianas)

専門家に聞いてみた

 おそらくこの魚は今でも、どうしてクラゲの中に入ってしまったのだろうと考えているはずだ。一方、研究者たちは、魚とクラゲの種類を知りたいと考えている。

 米ノースカロライナ大学ウィルミントン校のロブ・コンドン准教授は、ヒドロ虫綱のクラゲではないかと推測する。ウィルミントン校はクラゲのデータベース「ジェリーフィッシュ・データベース・イニシアティブ」を運営している。クラゲとともに行動する動物は多いが、魚の種まではわからないと、コンドン氏は述べている。

 コンドン氏は電子メールで取材に応え、「クラゲと魚の関係の重要性はほとんど解明されていませんが、今回のケースでは、クラゲがこの種の魚に有益な機能を提供していると推測されます」と説明した。

 約200種のクラゲを発見してきた分類学者リサ・アン・ガーシュウィン氏も、クラゲの種を知りたいと考えている。同氏によれば、このクラゲは箱虫(はこむし)鋼と鉢虫(はちむし)鋼が合わさったような外見をしているという。しかし、触手の数や外見、体の形といった特徴がどちらにも当てはまらない。

 ガーシュウィン氏は魚がクラゲの中に入ってからしばらくたっており、クラゲが弱っているのではないかと推測する。しかし、もしクラゲが弱っていたら、触手は1本も残っていないだろう。(参考記事:「10億匹の青いクラゲが大量死、米国西海岸で」

 また同氏は、魚が食事をしたり、身を守ったり、移動したりする目的でクラゲを利用することは「よくある」と付け加えた。

文=Elaina Zachos/訳=米井香織

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