絶滅寸前のサイ、保護のため捕獲後に死亡

残り100頭のスマトラサイ、ボルネオ島で40年ぶりに接触も実らず

2016.04.08
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死亡したスマトラサイのナジャク。2016年3月に保護され、安全な保護区へ移される予定だった。(PHOTOGRAPH BY ARI WIBOWO, WWF-INDONESIA)
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 ボルネオ島のインドネシア領で2016年3月、落とし穴にかかったメスのスマトラサイが保護された。この地域で、絶滅危惧種のスマトラサイに接触するのは40年ぶりのことだ。ところが喜びも束の間、ナジャクと名付けられたサイは、ほどなくして死んでしまった。(参考記事:「フォトギャラリー:絶滅の危機に瀕するサイの写真14点」

 国際サイ基金は、フェイスブックで「カリマンタンから届いた悲しい知らせに、心を痛めています」と声明を出した。

 インドネシアの環境大臣によると、ナジャクは数日前から健康状態が悪化しており、最終的には足の感染症により死亡したという。今後さらに詳しい調査が行われる。

保護のための捕獲だったが

 世界自然保護基金(WWF)インドネシアの保全ディレクター、アーノルド・シトンプル氏は、保護される前にナジャクが一度密猟のわなにかかっており、感染症はその時の怪我が原因だろうとしている。

「今回の悲しい出来事により、ボルネオ島インドネシア領におけるスマトラサイの個体群保護がいかに大きな課題であるかを改めて認識させられました」と、シトンプル氏は話す。(参考記事:特集「サイの悲鳴」

 推定年齢4歳か5歳のナジャクは3月12日、東カリマンタン州に仕掛けられた落とし穴で保護された。スマトラサイは、ボルネオ島では絶滅したとされていたが、2013年に撮影されたカメラトラップ(自動撮影装置)の画像から、過去数年間で少なくとも数頭が生息しているとみられていた。

 そこで保全活動家は、これらのサイを捕獲して150キロ離れたより安全な保護区へ移送するために、落とし穴を設けた。この地域は、採掘事業やプランテーションに近すぎて、動物たちにとっては安全な環境とは言えないためだ。

 国際サイ基金の声明は次のように述べる。「次にサイが保護されたら、今度こそスマトラサイ保護区へ無事移送できることを願っています。保護区には常設の施設があり、経験豊富な獣医と飼育員のケアを受けることができます。同時にこの地域の個体群を正確に知るための調査も実施し、適切な長期計画を立てる必要があります」

スマトラサイは、あとわずか100頭ほどしか生存していない。(PHOTOGRAPH BY ARI WIBOWO, WWF-INDONESIA)
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ボルネオ島マレーシア領では絶滅宣言

 スマトラサイは、世界に生息する5種のサイの中でも最も体が小さい。濃い赤茶色の肌は硬い毛で部分的に覆われている。密林に好んですむため、姿を見ることはほとんどなく、単独で行動することが多い。エサは果実や小枝、木の葉など。嗅覚が鋭く、においのついた足跡を残して仲間を探し合う。(参考記事:「残り60頭のサイに子ども、インドネシアで撮影」

 体重は800キロ、体長は2.5~3.2メートルまで成長することがある。地上で最も希少な哺乳類のひとつと言われ、現在、野生下に残るのは推定100頭。そのほとんどは、スマトラ島に生息する。

 2本あるスマトラサイの角は、アフリカのサイと比較するとかなり小さい。様々な病に効くとしていまだに闇市場で珍重されているが、科学的には効果がないことが証明されている。密猟に加え、森林伐採や採掘などによる生息地消失のため、個体数は過去100年間で激減、2015年にボルネオ島マレーシア領では絶滅が宣言された。(参考記事:「角の取引合法化でサイを絶滅から救えるか」

「ナジャクの死は、スマトラサイが直面する脅威を物語っています。私たちは、政府や専門家の強力な支援を受けて、この地域に残された個体群を救うための保全努力を続けていく必要があることを痛感しました」と、シトンプル氏は語った。(参考記事:「フォトギャラリー:世界最大の「サイ牧場」を撮影」

文=Brian Clark Howard/訳=ルーバー荒井ハンナ

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