魔のバミューダ海域、原因はメタンハイドレートか

北欧でメタン爆発に起因する海底巨大クレーター見つかる

2016.03.18
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ノルウェー沖で、奇妙なクレーターが発見された。(PHOTOGRAPH BY FREDRIK NAUMANN, PANOS)
[画像のクリックで拡大表示]

 北欧ノルウェー沖のバレンツ海で、天然ガスの爆発によってできたとみられる複数の巨大クレーターが見つかった。ノルウェー北極大学の研究チームはこの発表に伴い、魔の海域として知られる「バミューダ・トライアングル」の謎も同じ理由で説明がつくかもしれないと示唆し、物議をかもしている。

 クレーターの大きさは、最大のもので直径800メートル、深さは45メートル。海底の堆積物に閉じ込められていた天然ガスのメタンが爆発したことによってできたと考えられている。(参考記事:「シベリアで巨大クレーター続々、成因に新説」

 研究チームは、このような急激なガスの放出は船舶にも危険であるとし、マイアミ、バミューダ、プエルトリコを結ぶ海域「バミューダ・トライアングル」で船や飛行機が行方不明になる現象も、これが原因の可能性があると指摘した。

 バミューダ・トライアングルのガス爆発説は、これまでにもロシアの科学者イゴール・エリツォフ氏をはじめ一部の専門家が唱えている。ナショナル ジオグラフィック誌の過去記事にも、「メタンが放出されると大気に激しい乱流が生じ、飛行機の墜落を招く恐れもある」と説明されている。

バミューダ・トライアングルの謎

 バミューダ・トライアングルで船や飛行機が消息を絶つという話が知られるようになったきっかけは、およそ70年前、フロリダから飛び立った米海軍機5機が跡形もなく消えた事件にある。歴史家たちが記録を掘り返してみると、20世紀中にこの海域で300隻の船舶と数多くの飛行機が行方不明になっていることが判明した。クリストファー・コロンブスさえも、1492年の航海でここを通過した際に、方位磁石が奇妙な動きを見せたと書き残している。(参考記事:「バミューダに消えたフライト19編隊」

 バミューダ・トライアングルをめぐってはこれまで数々の陰謀説が飛び出してきたが、そもそも謎めいたトライアングルの存在自体を信じていない専門家も多い。

「この海域は交通量が大変多く、欧州諸国による開拓時代初期から船が頻繁に行きかう場所でした」。米海軍史財団の歴史家ジョン・ライリー氏は以前、ナショナル ジオグラフィックに対してそう語っていた。「そこでたくさんの船や飛行機が消息不明になっていると言うのは、都市部の高速道路で交通事故が多発していると言うようなものです。驚くほどのことでもありません」

 実際に計算してみると、「バミューダ・トライアングルで船や飛行機が消息不明になる確率は、他と変わりはない」という。

 ならば、ここで行方不明になる船は、ガス爆発のような何か突拍子もない事象に出くわしたわけではなく、悪天候やその他たまたま不幸な災難に見舞われたと考える方が自然だ。1976年にこの話題を取り上げた米テレビ番組の言葉を借りるなら、「科学はトライアングルの謎に解答を出す必要はない。なぜなら、謎自体がそもそも存在しないからだ」

「死のげっぷ」メタンハイドレート

 船や飛行機への危険性についてはまだ推測の域を出ないが、メタンハイドレートの存在は疑うまでもない。メタンは自然界に存在する無臭のガスで、有機物が腐敗することによって生じるが、海の底で水圧によって固くなり、ハイドレートと呼ばれる結晶になる。

 見た目は氷のようなハイドレートは、崩れたり、時には激しく爆発したりする。急にガスが解放されると、石油採掘作業員などに危険が及ぶこともあるため、現場関係者の間では「死のげっぷ」と呼ばれている。(参考記事:「天然ガス採掘でメタン汚染の可能性」

 研究室内の実験では、このげっぷが船の浮力や飛行機のエンジンに影響を与える恐れがあると示唆されたが、現実の世界では他にも様々な要素が絡んでくるため、実際にどれくらいの影響があるかは定かではない。(参考記事:「北極圏の資源開発の行方」

絶対に明かされない 世界の未解決ファイル99
ファティマ第三の予言からチュパカブラまで

子どものころに一度は聞いたあのミステリーが、今よみがえる!

ダニエル・スミス 著
定価:本体2,200円+税

ナショジオストア アマゾン 楽天ブックス

文=Brian Clark Howard/訳=ルーバー荒井ハンナ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加