写真家がとらえた、難民の子どもたちと眠り

中東難民の子どもたちはどんな夢を見るのだろう

2016.02.29
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入院3日目のイマーン。いつもは明るくやんちゃな2歳だが、今は肺炎と肺感染症を併発している。(PHOTOGRAPH BY MAGNUS WENNMAN/REX/SHUTTERSTOCK)
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 中東からの難民や移民が、近隣諸国やヨーロッパに大量に流入している。(参考記事:【動画】7万人もの難民が押し寄せた176人の村の現実

 そう聞いて思い浮かべるのは、小さな船にすしづめになって海を渡る人々、あるいは国境の検問所で入国を求めて声をあげる姿かもしれない。拳銃や放水銃を手にした守備隊員から逃げまどう様子をとらえた映像を思い出す人もいるだろう。こうした喧噪から離れ、写真家マグヌス・ウェンマンが目を向けたのは、難民の静かなひと時だった。

「子どもたちが眠る場所」と題したウェンマンの一連の写真からわかるのは、難民の子どもたちそれぞれが抱える過酷な状況だ。2016年2月18日、ウェンマンの作品は「世界報道写真」コンテストのピープル/組写真部門で第3位を受賞した。(参考記事:世界報道写真展2014に行ってみた

 ユニセフ(国際連合児童基金)によると、難民として暮らすシリアの子どもたちは、240万人を超える。これは、シリアから脱出した難民の半数を少し上回る数で、内戦や貧困、飢饉から逃れるため、ほかの中東諸国から移住してきた人の数よりはるかに多い。(参考記事:シリア難民、落ち着き場所は見つかるか

 そうした子どもたちの多くは、荷物を持って長い距離を歩き続ける。中には、家族のためにお金を稼ごうと、単純労働につく子どももいる。病気にかかり、お腹を空かせる子どもはとても多い。その多くが、親、家、教育の機会を失っている。ウェンマンが見せるように、そうした子どもたちには私たちの多くが当然と思っている「安らかな眠りの時間」はない。(参考記事:冬のシリア難民を襲う3重苦

 2015年秋、ウェンマンはCNNの取材を受け、難民危機の政治問題を理解することは難しいと答えている。「それでも、子どもたちに安全に眠れる場所が必要だということは、誰もすぐわかるでしょう」とウェンマンは語った。(参考記事:ハンガリー国境閉鎖で難民不安、写真家が撮影

ムハンマド(13歳)は、入院中も建築家になる夢を捨てていない。シリアのアレッポ出身のムハンマドは、大好きな建物が跡形もなく破壊されるのを目の当たりにした。(PHOTOGRAPH BY MAGNUS WENNMAN/REX/SHUTTERSTOCK)
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シリアのダマスカス出身のラリア(7歳)とラハフ(13歳)は、手投げ弾で母と兄を失った。2人は、父とともにレバノンのベイルートに逃げてきたが、路上で寝るようになり、1年になる。(PHOTOGRAPH BY MAGNUS WENNMAN/REX/SHUTTERSTOCK)
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アミールは、難民として生まれた。もうすぐ2歳だが、母によると、まだ話せない。子宮の中で心に傷を負ったのだと、母は思っている。(PHOTOGRAPH BY MAGNUS WENNMAN/REX/SHUTTERSTOCK)
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ワッラー(5歳)は、眠ろうとすると、シリアの故郷アレッポが攻撃された記憶が甦る。母は枕で砦を作り、眠っても怖いことは何も起こらないと言い聞かせている。(PHOTOGRAPH BY MAGNUS WENNMAN/REX/SHUTTERSTOCK)
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大人たちがハンガリー当局の追跡を逃れる算段をしている間、草むらで眠るアフメド(6歳)。父親がシリア北部で命を奪われた後、アフメドは自分の荷物をかつぎ、家族とともに歩き続けている。(PHOTOGRAPH BY MAGNUS WENNMAN/REX/SHUTTERSTOCK)
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母に抱かれた1歳のシャームは、ハンガリー国境の目と鼻の先にいる。前の日、オーストリアへと難民を運ぶ列車にタッチの差で乗れなかったのだ。(PHOTOGRAPH BY MAGNUS WENNMAN/REX/SHUTTERSTOCK)
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イラクのバグダッドのラマーの家は爆撃で破壊されたが、おもちゃのことはまだ覚えている。家族とともにトルコから海を渡り、ハンガリーにやって来て、今は寒い森で毛布に寝ている。(PHOTOGRAPH BY MAGNUS WENNMAN/REX/SHUTTERSTOCK)
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2歳のファラは、家を失っただけでなく、大好きだったサッカーへの関心も失った。父はスポーツへの関心を失わせまいと、何でも丸めてボールにしている。(PHOTOGRAPH BY MAGNUS WENNMAN/REX/SHUTTERSTOCK)
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マフディは1歳半で、戦闘や避難のことはほとんど知らない。マフディが眠る傍で、おおぜいの難民たちがハンガリーの国境で警察と激しい応酬をしている。目が覚めるころ、警察は催涙ガスや放水銃で難民を威嚇するに違いない。(PHOTOGRAPH BY MAGNUS WENNMAN/REX/SHUTTERSTOCK)
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文=Melody Rowell/訳=倉田真木

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