デビッド・ボウイは本物の星座になれるか

ベルギーの天文台が提唱、実現可能性は?

2016.01.22
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英国のロック歌手デビッド・ボウイさんの功績をたたえて、アートの世界だけでなく、星空にも彼の名を残そうと試みるファンたちがいる。(PHOTOGRAPH BY CHRIS RATCLIFFE, AFP, GETTY IMAGES)
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 音楽界のスターであったデビッド・ボウイさんを、本物の星にしようという動きがある。ベルギーのMIRA公共天文台と地元ラジオ局は1月13日、1973年のアルバム「アラジン・セイン」のジャケット写真でボウイさんの顔に描かれた稲妻形の星座を発見し、これを「デビッド・ボウイ」と名付けて登録したことをインターネットで発表した。

 このニュースは様々なニュースサイトで取り上げられ話題となっているが、残念なことに、その多くは、天文学的に新しい星座がどのように生まれるのかについてはっきりした説明がなされておらず、読者に誤解を与えかねないものもある。いくつか挙げてみよう。(参考記事:「宇宙画像:フォースの覚醒、ピンク色の瞳ほか」

1. 新しい星座を名付けたり、既存の星座を入れ替える余地はない

 全天は既に88の星座に分けられており、それぞれの星座には明確な境界線が設定され、それらが天球を隅々まで埋め尽くしている。これは、天体の公式な命名権を持つ国際天文学連合が定めたものだ。

2. 稲妻形を構成する7つの星は複数星座にまたがるアステリズムである

 アステリズムとは、人の目に分かりやすいパターンを形づくる複数の星々のことで、ひとつの星座の一部である場合もあるし、複数の星座にまたがっていることもある。有名なところでは、おおぐま座の一部である北斗七星や、はくちょう座、こと座、わし座の各星座の中で最も明るい恒星3つを結ぶ夏の大三角などがある。

 今回提唱された稲妻形は、てんびん座、おとめ座、ケンタウルス座、みなみのさんかく座に含まれる星々から成っている。

3. 稲妻の形が「火星の近くにある」との言い方は誤解を招く

 ネットでそのように表現している場合があるが、火星は夜空を常に移動しており、数日も経てば肉眼でもわかるほど場所が変わってしまっている。恒星ははるか遠く離れているため、まったく移動していないように見えるが、太陽系の惑星の場合は位置の変化がはっきりわかる。

 だが、ボウイさんの名を冠した天体は既に存在している。

 火星と木星の軌道の間にある幅1.6キロの小惑星には、342843 DavidBowieという公式名が付けられている。この小惑星は2008年に発見され、ボウイさんの68歳の誕生日の数日前に当たる2015年1月5日に名前が正式決定している。(参考記事:「NASAが小惑星の岩を月の軌道へ運ぶ計画」

 ボウイ小惑星は小さすぎて、家庭用の天体望遠鏡では見ることはできないが、ボウイさんの音楽はここ地球上でこれからも生き続ける。異星人ジギー・スターダストを生み、スターマンやスペース・オディティを世に送り出した才能あふれる彼の名が、宇宙にも刻まれていることは喜ばしい話だ。(参考記事:「2016年、絶対に見たい天体ショー6選」

文=Andrew Fazekas/訳=ルーバー荒井ハンナ

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