「非接触部族」マシコ・ピロ族、頻繁に出没の謎

周囲と接触しなかった部族は、なぜ姿を見せるようになったのか

2015.10.27
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

シペチアリのグレゴリオ・ペレス氏は、息子のレオをマシコ・ピロ族に殺されてから、川の近くに引っ越した。そこは釣りやバナナの生育に良好であり、何よりも息子の魂が落ち着く。雨が降って川が氾濫したとき、彼らは元の家に戻るのだろう。(PHOTOGRAPH BY JEFF CREMER)
[画像のクリックで拡大表示]

 マシコ・ピロ族の間で伝染病が流行するリスクを減らすため、ポンシアーノ氏らは複数のワクチンを受けている。また、マシコ・ピロ族が病気の兆候を見せたらすぐに治療できるよう、医師が待機している。どこかのタイミングで、――マシコ族が外部との接触を保ちたいなら――ワクチン接種が重要であることを、保護官が伝えることになっている。でも、現時点では「彼らは強くて健康です」とポンシアーノ氏は述べている。

成功のレシピは存在しない

 今後のことは誰にもわからない。この地域の平和は、今後の政府のかかわりと、職員がマシコ・ピロ族の信頼を勝ち取れるかどうかにかかっている。

 ブラジルでいろいろな部族との初接触を40年以上続けてきたホセ・カルロス・メイレレス氏はこう言う。「忍耐力、謙虚さ、そして彼らの信頼を得るまでに何年もかけるという意志が必要です。新しいチームを何度も送り込むことに意味はありません。先住民との関係は人対人であり、組織的なものではないのです」

 きっとどこかのタイミングで、マシコ・ピロ族が森での隔離された生活を捨て始めた理由が明らかになるだろう。彼らの領域を侵した伐採者や麻薬密売人によるプレッシャー、食糧難、病気、部族内の争い、あるいは外部の人間による誘惑など、理由はいくつも考えられる。同時に、マシコ・ピロ族が2人を殺した理由や、今後の意向(引き続き移動生活を送るのか川沿いのどこかに定住するのか)もわかるだろう。

 メイレレス氏は言う。「文化的にも身体的にも彼らを殺さずに受け入れるにはどうしたらいいのか。私たちは今、その方法を学んでいるところです。私たちはそのプロセスに沿って、彼らがこちらの世界に苦痛なく入ってこれるよう、寄り添うことが必要です。成功のためのレシピなど、存在しないのです」(参考記事:「森林伐採の危機、アマゾン孤立部族」

文=Nadia Drake/訳=堀込泰三

  • このエントリーをはてなブックマークに追加