3本の尻尾を持つトカゲが見つかる、コソボ

「トカゲの尻尾切り」の異常か

2015.10.02
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コソボで見つかった3本の尻尾を持つアオノドキールカナヘビ。(PHOTOGRAPH BY DANIEL JABLONSKI)
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 3本の尻尾を持つトカゲが発見された。

 欧州のコソボで見つかったこのアオノドキールカナヘビ(Algyroides nigropunctatus)には、30mm、15mm、10mmの3本の尻尾がある。

「長く爬虫類を研究してきましたが、(3本の尻尾を持つものは)初めて」と、発見者の1人であるスロバキア、コメニウス大学の生物学者ダニエル・ヤブロンスキー氏。同氏によると、この種での報告は初めてだが、3本の尻尾を持つトカゲは世界で数件報告されている。2本の尻尾を持つ個体はもっと多く発見されているが、それでも比較的珍しい部類に入るという。(参考記事:「【動画】ネットを戦慄させたミドリヒモムシとは」

尻尾切りの異常

 この3本の尻尾は、捕食者から逃げるために自分で尾を切る「自切」のプロセスにおける異常のようだ。自切した動物は、失った骨を軟骨で置き換え、新たな尻尾を再生する。

 ムカシトカゲ(ニュージーランド在来の爬虫類)などの例外もあるが、尻尾を再生できる種の大半はトカゲである。

 過去の研究から、トカゲの余分な尻尾は、元の尻尾の切断がうまくいかず残ったときに生じることが示唆されている。しかし、尻尾全体が失われてから複数の尻尾ができる場合もある。今回のコソボの個体も、そのケースに該当する可能性が高い。

 8月にジャーナル「Ecologica Montenegrina」に掲載された論文では、何らかの大きな力で脊椎の底部が砕かれ、分かれた椎骨のそれぞれから尻尾が生えた可能性が高いと考察している。猛禽や犬から攻撃を受けたためかもしれない。野犬は、「バルカン半島では極めて一般的」であるとヤブロンスキー氏は記している。

 3本の尻尾は、切断された場所を境に色とうろこのパターンが元の体と異なっており、元の尻尾は完全に失われているとする推論を裏付けている。(参考記事:「左右の色がくっきり異なるロブスターが見つかる」

ドラマチックな発見

「これの何が素晴らしいって、元の尻尾が傷ついて残ったのではなく、完全に失われていることです」と言うのは、オーストラリア、カーティン大学の生物学者ビル・ベイトマン氏だ。

 ベイトマン氏は今回の研究に関わっていないが、自切は多くの種にとって重要な逃亡手段であり、「このような珍しい事態が起きても驚きではない」と述べている。とはいえ、今回見つかったトカゲは「とてもドラマチックです。なぜなら、3本の尻尾が1つの基部から生えており、3本とも非常に大きいから」

 同氏は過去に、3本の尻尾を持つ複数のブラウンアノール(Anolis sagrei)を米国で見たことがある。しかし、「非常に短くて未発達な“尻尾の先端”」が、元の尻尾に付いていただけだったと言う。

発見されたトカゲの健康状態は良好だったため、無傷のままコソボの生息地に返された。(PHOTOGRAPH BY DANIEL JABLONSKI)
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健康な奇形

 複数の尻尾があると、バランスを失ったりその他のハンディを負ったりしそうだが、この個体の状態は良好であり、無傷のまま解放された。

 このトカゲは、通常より捕食者を警戒し、狭い縄張りを維持していたのではないかとベイトマン氏は推察している。自らの行動を変えることで体の異常を補っていたのかもしれない。「尻尾が複数あることによる健康上の犠牲はなかったのではないでしょうか」(参考記事:「幻の白いバクの撮影に成功」

文=James Owen/訳=堀込泰三

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