21世紀中に解明されそうな古代ミステリー7つ

ナショジオ考古学者が選ぶ、新技術によって解けそうな謎

2015.09.15
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ホンジュラスの熱帯雨林の奥地で昨年、LiDARスキャナーを持った考古学者が、失われた都市の遺跡を発見した。LiDARは、レーザー光を使ってジャングルの林冠の下を探査する技術だ。このような新技術の登場により、「探検の新時代」が訪れている。(PHOTOGRAPH BY DAVE YODER, NATIONAL GEOGRAPHIC)
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 ナショナル ジオグラフィック協会が初めて考古学者に支援金を出したのは、1912年のこと。支援を受けたハイラム・ビンガム氏は、当時の最新技術であるコダックのカメラを持って、マチュピチュへと旅立った。あれから100年の間に、驚くほどのツールが登場した。人間の目に見える波長を超えて「見る」ことができるリモートセンシング装置や、人間がやれば1000年はかかる計算を一瞬でこなすコンピューターなどだ。

 協会フェローの考古学者、フレデリック・ヒーバート氏は言う。「ナショナル ジオグラフィックが、21世紀を“探検の新時代”と呼ぶのには、理由があります。今世紀に何かを発見し、解明できるチャンスは、無限にあるかのように考えられるからです」

 そこでヒーバート氏に、今世紀中に解明できそうな古代ミステリーを予測してもらった。

1. 中南米における未知の都市、文明の発見

「考古学者は、LiDAR(Light Detection and Ranging:光検出と測距)を使って、ホンジュラスやベリーズなどの地でうっそうと茂るジャングルの林冠の下を、文字通り“見る”ことで、今まで存在が知られていなかった共同社会を見つけようとしています」(参考記事:「謎の古代文明の遺跡を中米ホンジュラスで複数発見、マヤとは別」

2. チンギス・ハーンやアレクサンドロス大王の墓の発見

ギリシャ北部の古代遺跡アンフィポリスの近くにある巨大な大理石の墓の内部で、昨年発見されたモザイク。アレクサンドロス大王の家族の墓ではないかという憶測を呼んでいる。(PHOTOGRAPH BY ARISTIDIS VAFEIADAKIS/ZUMA PRESS/CORBIS)
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 地中レーダー(GPR)などの新技術により、発掘せずとも地中を見ることができるようになった。ナショナル ジオグラフィックの「ハーンの谷」プロジェクトでは、ヒーバート氏のチームが衛星画像を使ってチンギス・ハーンの墓地と考えられる地点をいくつか特定し、GPRを使ってその信頼性を判断した。「このときはチンギス・ハーンの墓を見つけられませんでしたが、比較的小規模な地物を探して広範囲を調査するにはうってつけの方法です。けっきょく、数当てゲームのようなものなんです。どれだけの範囲を調査できるかで、何かを発見できる確率が決まる。チンギス・ハーン以外にも、アレクサンドロス大王(の墓)だって見つけられるかもしれません」(参考記事:「アレクサンドロス大王の父の墳墓を特定か」

3. 秦始皇帝陵への立ち入り

等身大の素焼きの軍隊「兵馬俑」が、秦始皇帝の巨大な墓を護衛している。この闇に包まれた秘密の墓に立ち入った考古学者は未だいない。(PHOTOGRAPH BY O. LOUIS MAZZTENTA, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 考古学者は、中国・西安にある兵馬俑に囲まれた秦始皇帝陵の場所を知りながらも、2000年以上前の遺物を損傷する恐れから、扉を開けることを躊躇している。「GPRや磁気探知器を使えば内部構造を知ることができます。最終的には小型ロボットを使って墓に入り、内部をほとんど乱すことなくデータを収集できるようになるでしょう」(参考記事:フォトギャラリー「秦の始皇帝の兵馬俑」

4. 古代ミノア人が遺した謎の言語の解読

ミノア文明の要所、クレタ島ファイストス。パワフルなコンピューターの出現により、線文字Aとして知られるミノアの謎の文字が解読されるかもしれない。(PHOTOGRAPH BY GORDON GAHAN, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 地中海で栄華を誇ったミノア文明が発見されて1世紀以上になる。しかし、線文字Aとして知られるその言語は、いまだに解読されていない。「これまでに、1400例以上の線文字Aが発見されており、研究が行われています。今の私たちには、ビッグデータというツールがあります。IBMのワトソンに解読をやらせてみない手はありません」(参考記事:「宇宙から見たクレタ島」

5. ナスカの地上絵の目的を知る

ペルー南部の高原に描かれた広大な絵は、1920年に初めて発見されて以来、空の旅人たちの好奇心をくすぐり続けている。(PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 ナスカの地上絵の目的はまだ理論化されていない。精緻に描かれたペルーの地上絵は、星座を描いたものなのか? 水源に関係するものなのか? 人類学者ヨハン・ラインハルト氏は、ナスカの地上絵に関しては、理論を証明できるような評価が何一つできていないと述べており、ヒーバート氏もこれに同意している。「この分野でこそ、日々パワフルになるコンピューター分析により、大量の地理的・考古学的データを処理することが非常に重要になるでしょう」(参考記事:「ナスカ 文明崩壊の謎」

6. 無傷のネアンデルタール人の発掘

4万年の時を経て、2007年にシベリアで見つかったマンモス。氷床の融解により、長く凍結された遺物は今後も発見されるだろう。(PHOTOGRAPH BY FRANCIS LATREILLE, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE )
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 地球温暖化で氷床および氷河の融解が進んでおり、保存状態のよいネアンデルタール人が出現する「可能性が非常に高い」とヒーバート氏。シベリアでは、4万年前の赤ちゃんマンモスが発見されている。(参考記事:「ネアンデルタール人 その絶滅の謎」「4万年前の赤ちゃんマンモスを解剖する」

7. 北米に存在したバイキングの確認

海賊の前哨基地と信じ、発掘作業を進める考古学者パトリシア・サザーランド氏(オレンジの上着)のチーム。カナダ・バフィン島、タンフィールド・バレーにて。(PHOTOGRAPH BY DAVID COVENTRY, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 温暖化で氷河の秘密が解き明かされるのと同じように、カナダ沿岸部の融解により、バイキング社会のネットワークが明らかにされるだろう。これにより、南北アメリカ“発見”の歴史は書き換えられると、ヒーバート氏は予測する。「南北アメリカではすでに、2カ所のバイキング・コミュニティーが発見されています。その解明が進むにつれて、大西洋沿岸全域で発見が進むことは想像に難くありません」(参考記事:「バイキングと北米先住民」

文=Kristin Romey/訳=堀込泰三

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