山火事の煙害が広域化、死者は年間34万

発がん性物質を含む煙が各地を覆う

2015.11.04
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「ラフ・ファイア」と呼ばれる米カリフォルニア州の山火事。7月下旬から燃え続けて国立森林公園や国立公園に広がり、焼失面積は約615平方キロに及ぶ。大量の煙は数十キロ離れた市街地にも届いている。(Photograph by Stuart Palley, Zuma/Corbis)
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 インドネシアや米国カリフォルニア州で大規模な山火事が続いている。呼吸困難を引き起こす粒子や有毒な化学物質を含む煙が山や海を越えて広がり、問題となっている。

 9月のある日、カリフォルニア州にある病院にプラビーン・ブディガ医師が出勤すると、予期した通り待合室は満員だった。上空からは雪のようにも見える白いものがひらひらと舞い降りている。

 落雷に端を発してセコイア国立森林公園に広がった山火事は、すでに約615平方キロメートルを燃やし、煙やすす、灰を上空に舞い上げていた。その煙は約56キロ離れたフレズノの町に達し、ブディガ医師が担当する患者の肺にも入り込んでいた。(参考記事:「カリフォルニア山火事、95%は人為的」

 アレルギー専門医であるブディガ医師は、山火事が人体に深刻な脅威をもたらすとわかっていた。特に、喘息や心臓病を抱えた人々にとっては致命的にもなり得る。「世界共通のサインですが、高齢の患者は両手で喉を覆い、若い患者は自分の胸を指さして症状を訴えます。山火事による被害は深刻です」

煙による死者は年間34万人

 世界中で大きく強い山火事が発生し、それにともなって膨大な数の人々が危険な煙にさらされている。(参考記事:「【動画】「炎の竜巻」、山火事で発生」

「こうした傾向は我々も確認しています。山火事の煙に含まれる物質は、人々の健康に甚大な影響をもたらします」と語るのは、米環境保護局の国立健康環境影響研究所(NHEERL)で環境・公衆衛生部門を率いる医師、ウェイン・カシオ氏だ。

インドネシア、パランカラヤの街。泥炭火災による黄色く不快な煙に覆われている。火災と煙の勢いが衰えないことから、政府は国家非常事態を宣言するとみられる。(Photograph by Bay Ismoyo, AFP, Getty Images)
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 研究者たちの推定では、山火事の煙による死者は世界で年間33万9000人に上り、特にアジアやサハラ以南のアフリカで多い。また別の研究では、居住地が山火事の煙で覆われると、喘息の発作や救急室での受診数、入院患者数が10倍に増えるという。

 現在、東南アジアの広い範囲が濃い煙で覆われている。原因はインドネシアの泥炭火災で、終息に数カ月はかかるとみられる。インドネシアの5つの州の住民4000万人が有害な煙を吸っていると推定され、政府は国家非常事態を宣言する見込みだ。

 NASAによると、泥炭が燃えると「他の炎よりもはるかに多くの煙と空気汚染」をまき散らすという。NASAはインドネシアの山火事について、今後さらに悪化し、より広範囲に及ぶだろうと警鐘を鳴らす。

 煙が山脈や大陸、海を越えることは衛星画像でも確認されている。米ニューメキシコ州アルバカーキでは約400キロ離れた場所の山火事が原因で救急車が要請され、カナダのケベック州で起きた山火事では1300キロ近く離れた米ニューヨーク州まで煙が流れ、息苦しさを感じる人が続出した。(参考記事:「温暖化で加速する山火事」

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