小型コウモリ、長寿の秘密はフルーツ

食料や出産数が寿命にどう関わるかを分析

2015.08.11
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小型コウモリの体長は2.5~12センチ前後しかない(写真は、ペルーのジャバリ川で撮影されたアルブシロサシオコウモリ)。 (Photograph by Amazon-Images MBSI, Alamy)
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 コウモリのなかでも、オオコウモリを除くほとんどの種はいわゆる「小型コウモリ」。小さいものは体長3センチ弱、大きくても12センチ前後しかないが、その数はおよそ1000種にのぼり、地球上の全哺乳類の実に17%を占めている。

「初めて見たら、その小ささに驚きますよ」と、オーストラリアのメルボルン大学でコウモリを研究するピア・レンティーニ氏は言う。「おまけに、おしつぶされたみたいなブサイク顔ぞろいなんです」。ところが、暗闇にすむこの小さな動物は、これまであまり研究もされず、日々の暮らしも謎に包まれたままだった。(参考記事:「世界で唯一の白いコウモリ」

 今回、レンティーニ氏率いる研究チームは、小型コウモリについての貴重なデータをまとめ、その成果を8月4日発行の『Biology Letters』誌で発表した。

(NG STAFF/SOURCES: TheAnimalFiles.com; Apple)
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 現在北米では、致死性のカビで発症する「白い鼻症候群」によるコウモリの大量死が問題となっている。光害や風力発電といった人間活動の拡大も、個体数の減少に拍車をかけている。しかしコウモリを保護しようにも、生態がよくわからないままでは手の施しようがない。(参考記事:「コウモリを体内から燃やしつくす致死性カビ」

「それが、われわれの研究の背景にある大きな動機です」と、レンティーニ氏は語る。

研究しにくいコウモリ

 小型コウモリは、反響定位という能力、いわば体内ソナーを使って、蚊などの害虫を捕まえている。また、テキーラの原料となるリュウゼツランなどの授粉をしているのも彼らだ。小柄なわりに、寿命が長いのも特徴。一般的に小型動物は寿命が短いと思われがちだが、最も長く生きたコウモリは、野生下で41年という記録がある。

 だが、その長寿の秘密についてもほとんどわかっていない。小型コウモリは研究が難しいからだ。夜行性というだけでなく、捕獲されたり、観察されたり、冬眠を邪魔されたりすると、「われわれ人間を避ける術を学習したり、早死にしたりする可能性が高くなるんです」と、国際コウモリ保護協会の創設者でコウモリ研究家のマーリン・タトル氏は語る。(参考記事:「コウモリを誘う花の“声”」(マーリン・タトル氏が撮影)

ネズミを捕まえるインドのチスイコウモリモドキ。(Photograph by Stephen Dalton, Minden Pictures/Corbis) 
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寿命の予測モデル

 そこで今回、レンティーニ氏は44種の小型コウモリを、体の大きさ、食料、性別、毎年の出産数、生息地別に分類。さらにデータを解析し、似た特性をもつコウモリの「寿命の予測モデル」を作り上げた。

 レンティーニ氏の研究グループは、年齢と性別が寿命を知る指標となることを明らかにした。たとえば、年配の雌の方が若い雄に比べてはるかに生命力が強いという。

 だが、寿命に最も影響を与えているのは餌だ。虫を食べるコウモリよりも、フルーツを食べるコウモリの方の寿命が長い。これはおそらく、餌を追いかけることがない分、捕食者の目にさらされる時間が短いからだろう。

 また、コウモリの子どもの体重は、母コウモリの3分の1もあり、母コウモリは多大な負担を強いられる。そのため、出産数の多いコウモリはどうしても短命になりやすいと考えられる。

 コウモリは同じ種であっても、習性に大きなばらつきがあり一定していないと、タトル氏は言う。「種全体の習性や寿命のモデル化は、極めて慎重に行わなければいけません。小さい窓をのぞき込んで、種全体の習性や寿命をモデル化するわけですから」

 レンティーニ氏の次のテーマは、小型コウモリの食料を解明することだ。「学生に糞を分析させたところです」(参考記事:動画「恐怖! 吸血コウモリの食事」

文=Rachel A. Becker/訳=倉田真木

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