圧倒的!「高解像度宇宙望遠鏡」の建設構想を発表

ハッブル望遠鏡の5倍鮮明、次世代ジェームズ・ウェッブ望遠鏡をも凌駕

2015.07.09
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高解像度望遠鏡(HDST)で見たと仮定した画像の例(右)。ハッブル望遠鏡(左)に比べて、100億光年先にある銀河がおどろくほど詳細に見える。(Illustration by D. Ceverino, C. Moody, and G. Snyder, and Z. Levay)
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 先日、新たな宇宙望遠鏡の驚きの実力を詳述したレポートが米国の宇宙望遠鏡科学研究所から発表された。

 2030年代初頭には実用化できるというこの望遠鏡は、高解像度宇宙望遠鏡(HDST)と呼ばれる。地球から100万マイル(160万キロ)の距離に設置され、54個の独立した鏡が組み合わさって、鏡の面積はハッブル宇宙望遠鏡の25倍を誇る。地球に似た太陽系外惑星で生命の痕跡を探したり、銀河誕生の謎を明らかにしたり、我らが太陽系の秘密をより詳細に研究したりといった観測に十分に貢献できる大きさだ。

 この望遠鏡はまた、圧倒的な美しさを誇るハッブルの画像をはるかに超える、驚愕の高解像度画像を提供できるという。(参考記事:「ハッブル望遠鏡50の傑作画像」

地球外生命の探査も簡単に?

 生命が存在する可能性のある地球型惑星を探す望遠鏡には、ごく弱い光しか出さない目当ての惑星を、その付近にある星々ときちんと区別して認識できる性能が必要だ。ハッブルやジェームズ・ウェッブ望遠鏡では、こうした光は互いに融合して見えてしまう。それはたとえば、遠くから近づいてくる車のヘッドライトが、ひとつの光源から出ているように見えるのと同じことだ。大きい鏡があれば、それだけ解像度も高くなる。画像をぼやけさせる大気のない宇宙空間では、とくに鮮明な画像が得られるだろう。(参考記事:「ここがすごい!ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」

 また、目当ての惑星の主星(地球における太陽のような存在)の光をさえぎることも重要だ。主星の明るさは、付近の惑星の弱い光を圧倒してしまうからだ。この問題を解決するため、HDSTにはコロナグラフが装備される。これは星の光をさえぎる装置で、飛行機を見上げるときに手で太陽光をさえぎるのと同様の役割をはたす。(参考記事:太陽観測用のコロナグラフ

 こうした性能をすべて備えれば、「おそらく地球から100光年以内に、何十という数の地球型惑星を発見できるでしょう」。報告書の執筆に協力した米マサチューセッツ工科大学(MIT)の天文学者、サラ・シーガー氏はそう語る。

 HDSTは地球型惑星の大気をスキャンして、生物活動の痕跡を探ることになる。たとえば大気中に酸素が存在すれば、大いに期待が持てる兆候だ。酸素は非常に反応しやすい分子で、生物活動によって絶えず補充され続けない限り、ほかの分子とすばやく結合してしまうからだ。(参考記事:特集「宇宙生物学のいま 生命は地球の外にも存在するのか?」

 銀河の形成や進化を研究するには、紫外線に対する感度が高いことも重要となる。紫外線画像を見ることができれば「銀河の間に宇宙のクモの巣のように存在するガスを観測できるでしょう」と報告書執筆メンバーの1人であるマーク・ポストマン氏は言う。ガスの観測は、近傍の何百という銀河の進化過程の研究に貢献するだろう。

 またHDSTは、こうした銀河に含まれる太陽程度の大きさの星を個々に観測でき、ガスと星の両方のデータがあれば、科学者たちは「さまざまなタイプの銀河における完璧な進化のシナリオ」を手にできるという。

 HDSTは太陽系外縁部の観測にも活躍する。さらに、天王星や海王星といった太陽系惑星の連続写真も撮影可能。また、海王星軌道の外側にある天体が多い領域であるカイパーベルト内のエリス、ハウメア、マケマケ、クアオアといった大きな天体についても、詳細な画像が得られるようになるだろう。(参考記事:「冥王星は惑星か、研究者3人の見解」

費用はどうなる?

 当然ながら、望遠鏡の開発にはお金がかかる。ジェームズ・ウェッブ望遠鏡は当初、5億ドルの予算で建設が始められたが、最終的な費用は10倍以上に膨れ上がった。HDSTの報告書執筆者らによると、ウェッブ望遠鏡の予算オーバーの原因は主に新技術開発にともなうもので、このとき生み出された技術の多くはHDSTにも引き継げるという。

 彼らは今回賢明にも、具体的な見積もりを提示していない。

「我々はそもそも、コストの見積もりすらしませんでした。まだ詳細が詰められていないので、やろうと思ってもできないのです。技術は日々進歩していますから、今は難しい課題でも、5年後にはクリアされているかもしれません」。報告書執筆委員会の共同代表者である米ワシントン大学のジュリアン・ダルカントン氏は語る。「自分が生きているうちに、ぜひともこの望遠鏡を使ってみたいですね。それはきっとすばらしい体験になるでしょう」

文=Michael D. Lemonick/訳=北村京子

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