世界一周ソーラー機不時着、36時間後の決断

6日間連続飛行でハワイへ再挑戦へ

2015.06.03
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先週末、ハワイへのノンストップ飛行を目指して中国の南京を飛び立ったソーラー・インパルス2(PHOTOGRAPH BY PIZZOLANTE, SOLAR IMPULSE)
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 太陽電池だけで世界一周飛行に挑戦している飛行機「ソーラー・インパルス2」は今月1日、最難関とされる太平洋区間を飛行中に予定を変更、Uターンすることになったと、パイロットが発表した。

「現在、名古屋へ向けて飛行中。今回は残念な結果に終わりましたが、日本の支援に心から感謝します」。スイス人パイロット、アンドレ・ボルシュベルグ氏がツイッターで報告すると、その後しばらくして同機は愛知県営名古屋空港へ不時着した。

引き返せるギリギリでの判断

 ボルシュベルグ氏は中国の南京を飛び立ち、ハワイへ向け6日間の予定で飛行中だったが、出発から36時間後に一時中止を決定した。

 ソーラー・インパルスのチームは南京出発前、ナショナル ジオグラフィックの取材に対し、この区間をもし引き返すとしたら、出発後1日半以内に決断しなければならないと話していた。それを超えてしまうと、軽量の機体は卓越風に逆らいながら戻ってくることができなくなるためだ。

 予定では、南京からハワイまでの8170キロを6日6晩かけて飛行、5日の金曜日にホノルルへ着陸するはずだった。

再挑戦は前線が停滞する前に

 ボルシュベルグ氏は、天候が回復すれば数日以内に再挑戦したいと話している。南京でも、太平洋で発生していた台風が過ぎ、風が収まるまで数週間の足止めを食っていた。

 元戦闘機パイロットのボルシュベルグ氏は、1人乗りのソーラー飛行機を操縦し、高度9100メートルを、わずかな仮眠のみで飛ぶ予定。77年前、女性飛行士アメリア・イアハートは、同じ太平洋横断の挑戦途上に行方不明になった。(参考記事:「伝説の女性飛行士遭難の謎、異説が浮上」

 ソーラー・インパルス2の動力源は、機体の上に搭載された1万7000個以上の太陽電池のみ。これでバッテリーを4個充電することもできる。ボルシュベルグ氏と、そのパートナーでスイスの精神科医ベルトラン・ピカール氏が交代で飛行し、世界一周に挑戦している。

 カーボン・ファイバーの機体は非常に軽く、強い風に流されやすい。電力を十分に確保するために、晴天が続くことも重要だ。チームは、何年もかけて気象の変化を細かく記録してきたが、それでも4日以上先の天気を正確に予測することは難しく、計画の障壁になっているとしている。今回引き返す原因となったのは、太平洋上空の寒冷前線によって発生した強風だった。

 モンスーンが本格化する前に太平洋横断を終え、米国アリゾナ州フェニックスへたどり着きたいと、チームは考えている。(参考記事:「ソーラー・インパルス世界一周スタート、飛行ルートマップも」

文=Brian Clark Howard/訳=ルーバー荒井ハンナ

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