太陽の300兆倍、宇宙一明るい銀河を発見

初期宇宙に巨大ブラックホールの謎

2015.06.01
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新たに発見された銀河WISE J224607.57-052635.0のイラスト。太陽の300兆倍以上という、宇宙一の明るさを誇る。(Illustration by NASA)
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 1000億個、あるいはそれ以上の銀河がひしめく宇宙で、最大の輝きを放つ銀河が見つかった。

 新たに発見された銀河WISE J224607.57-052635.0の明るさは、太陽の300兆倍を超える。米NASAジェット推進研究所(JPL)の天文学者ピーター・アイゼンハルト氏らの研究チームが、専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」6月号に発表した。

 地球からはるか遠く離れたこの銀河の輝きは、恒星によるものというよりも、むしろ「怪物級のクエーサー」から出ているとアイゼンハルト氏は話す。

 クエーサーは、銀河の中心にある巨大なブラックホール。ガスを大量に吸収し続けているため、周囲のちりが加熱されて数百万度もの高温になる。そうして放出された赤外線は、宇宙のはるか遠くからでも観測できるのだ。研究チームによると、今回の銀河には太陽の100億倍の質量を持つクエーサーがあるという。

10億年で超巨大化

 この巨大クエーサーが放つ光は、約125億年かけて地球に届いている。つまり、ビッグバンからわずか10億年余り経ったころの光だ。ブラックホールが短期間でどのようにしてここまで大きくなれるのかは、いまだ未解明の大きな謎である。

 しかも、こうした怪物級のブラックホールが見つかったのはこれが初めてではない。2015年2月にも、さらに大きく古いブラックホールの発見が報告されている。(参考記事:「太陽の120億倍、説明不能なブラックホール発見」

「ブラックホールがなぜこんなに早く巨大化したかについては、研究が始まったばかり。そこに一つ実例が増えたといえます」とアイゼンハルト氏。

 2月に見つかったクエーサーは、地上にある世界最大級の望遠鏡をいくつも駆使して発見された。一方、今回のWISE J224607.57-052635.0を見つけるのに使われたのは、NASAの広域赤外線探査衛星WISEだった。この銀河はエネルギーの大半を赤外線として放出しているからだ。

 今回の論文の筆頭著者であるJPLのツァイ・チャオウェイ氏は、「このクエーサーはちりの雲に隠れています」と話す。クエーサーからの光がちりにぶつかると、ちりから赤外線が放出される。ツァイ氏らのチームは、WISEが検出した赤外線の量に基づいて、クエーサーの大きさと明るさを算出した。

謎が謎を呼ぶ

 ブラックホールが短期間で桁外れの大きさへと成長できた仕組みについて、天文学者らはいくつかの説明を試みている。一つは、このブラックホールが「エディントン限界」という考えうる最速のペースでガスを飲み込み続けたかもしれないということ。ただし、その可能性は薄く、限界を超える方法があるのかもしれないという。

 もう一つは、このブラックホールは誕生したときから巨大で、それが成長したのかもしれないという考え方。アイゼンハルト氏は、「ゾウを育てたければ、子ゾウから育てるのが最短の道です」とたとえる。とはいえ、「子ゾウ」サイズのブラックホールがどのように誕生したのかは謎が残る。

「不可解な点はもう一つあります」と指摘するのは、ハーバード大学の天体物理学者で今回の研究には関わっていないアビ・ローブ氏。「初期宇宙で最大規模のブラックホールと、私たちが現在観測している最大規模のブラックホールは、質量が同程度なのです」。つまり、短期間で巨大化した謎だけでなく、それ以上大きくならなかったのはなぜかということもまた、解明すべき疑問なのだ。

「こうした謎について、今はまだ手がかりすらありません」とローブ氏は語った。

文=Michael D. Lemonick/訳=高野夏美

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