カッパドキアに新たな地下都市、過去最大と推定

礼拝堂やワイン醸造所、水路や通気口などのインフラも完備

2015.03.31
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ビザンチン期の要塞の地下に不規則に広がるトンネルや部屋が発見され、考古学者たちが調査を進めている。トルコ・ネブシェヒルで撮影。(PHOTOGRAPH BY MURAT KAYA, ANADOLU AGENCY/GETTY)
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 トルコの世界遺産カッパドキアで、過去最大とみられる地下都市が見つかった。場所はこの地方の中心都市ネブシェヒルの市街地。丘に建つ城の地下に、入り組んだトンネルと部屋が発見された。発掘調査されたのはまだ一部だが、その規模と構造はこれまで最大とされてきたデリンクユの地下都市を上回るとみられる。

 カッパドキアはトルコ中央部に位置し、妖精の煙突と呼ばれる奇岩や洞窟の教会、さらには数多くの地下都市で知られている。火山灰が堆積してできた柔らかい岩石や凝灰岩を削り出してつくった地下都市は250 余りあり、侵入者から逃れるための隠れ場所だったとされる。

工事現場で見つかった地下への入り口

(NG MAPS)
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 発見のきっかけは、市の住宅建設プロジェクトだった。2013年、ネブシェヒルの城を取り囲むように建っていた低所得者向け住宅を解体していた作業員たちが、地下への入り口を発見。その先にはトンネルと部屋が網の目のようにつながっていた。

 市は建設プロジェクトを中止すると、考古学者や地球物理学者による調査を開始。2014年に居住空間や調理場、ワイン醸造所、礼拝堂、階段などから成る多層構造の地下都市を発見した。石臼や石の十字架、陶磁器といった遺物からは、ビザンチン期からオスマン帝国の支配下に置かれるまで、ここが実際に使用されていたことがうかがえる。

 この地下都市は、デリンクユと同様に通気口や水路といったインフラを備えた巨大居住空間だった。カッパドキアの人々は危険が迫ると家畜を連れ、生活必需品を持ってこの地下都市に逃げ込み、丸い石の扉で入り口をふさぐと、脅威が去るまで籠城したようだ。

 ネブシェヒル大学の地球物理学者たちは、物理探査(比抵抗法や地震波トモグラフィー)を用いておよそ4平方キロにおよぶ地中の様子を体系的に調査した。33の測定結果から、地下都市の規模は46万平方メートル近いとする予測が出された。地下通路の深さは推定値で最大113メートル。これが正しければ、都市の規模はデリンクユより30%ほど大きいことになる。

 調査の責任者を務める考古学者ムラト・ギュリャズ氏は、正確な規模はまだわからないとしながらも、「都市の場所や防御体制、水路の存在を考えると、相当な規模であった可能性は高いでしょう」と語る。

トルコのカッパドキアは凝灰岩を削り出してつくった地下都市で有名。凝灰岩は火山灰が堆積してできた多孔質の軽い岩石だ。(PHOTOGRAPH BY MURAT KAYA, ANADOLU AGENCY/GETTY)
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古代都市テーマパークへ

 「この発見は、カッパドキアに大きな利益をもたらす、貴重な財産となるでしょう」と、ネブシェヒルのハサン・ユンバー市長は喜ぶ。市長は、集合住宅の建設を郊外に変更し、この地にデザイナーズホテルやアートギャラリー、地下に遊歩道や博物館を擁する「世界最大の古代都市テーマパーク」を造る方針だ。「地下都市の教会を復元しようとも考えています。みな、興奮を抑えきれません」

 ギュリャズ氏のチームは、引き続きトンネル内のがれきを取り除きながら、地下深くへと調査を進める。凝灰岩は柔らかく崩れやすいため、作業には危険が伴うが、ギュリャズ氏の期待は膨らむ。「ネブシェヒル城の下に広がる地下都市の全貌があらわになれば、きっと観光客がここに押し寄せるでしょう」

文=Jennifer Pinkowski/訳=米井香織

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