21世紀を生きる少年たちは、どのようにして「一人前の男」になるのか。伝統的な通過儀礼が現在も残る社会もあるが、消えてしまった地域もある。

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「男らしさ」への道

21世紀を生きる少年たちは、どのようにして「一人前の男」になるのか。伝統的な通過儀礼が現在も残る社会もあるが、消えてしまった地域もある。

文=チップ・ブラウン/写真=ピート・ミュラー

 アフリカのケニア西部に暮らすブクス族の少年の名は、シャドラック・ニョンゲサ。その日は朝から羽根飾りのついた鈴を腕輪に打ちつけ、にぎやかに鳴らし続けていた。父親の家にあるマンゴーの木の下で腕を振って踊る少年の周囲では、年長の友人や親族たちが木の枝やつえを掲げ、勇気や女、酒にまつわる歌を歌う。

 午後になると、シャドラックは母方のおじの家を訪ねた。おじは少年に平手打ちを食らわせ、めそめそするな、そんなことで一人前の男になれるのかと大声で怒鳴りつけてから、牛を1頭与えた。少年はこれからブクス族の伝統に従い、割礼の儀式を受けるのだ。

アフリカの部族に伝わる儀式

 日暮れ頃には50人を超す人々が集まっていた。男性たちは大がめから、この日のために用意された「ブサ」と呼ばれるトウモロコシのビールを飲んでいる。シャドラックの父方のおじが、殺されたばかりの牛の腹をナイフで裂いて胃袋を切り取った。そして半ば消化が進んだ中身を手のひらにすくうと、甥のところへ歩み寄る。

「うちの一族で怖がった者などいないぞ。しゃんと立て!」と一喝すると、シャドラックの胸元へ、どろどろした緑色の胃の中身をぶちまけ、顔や頭に乱暴に塗りたくった。さらに牛の胃の切れ端を少年の首に巻きつけて、左右の頬を張り飛ばし、こう言い渡した。「儀式で泣いたら二度と戻ってくるな。川を渡って前へ進め。お前はもう一人前の戦士なんだ」

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2017年1月号でどうぞ。

編集者から

 アフリカのケニアで今も続く伝統的な儀式を中心に取り上げていますが、記事の中ではそれ以外にも、少年が一人前の男になるためのさまざまな通過儀礼が紹介されています。「つらさに耐える」趣旨のものが全体に多いのですが、なかでも強烈なのがブラジルのアマゾン川流域で行われているという儀式。なんと神経毒をもつアリをびっしり仕込んだ手袋に手を突っ込み、その激痛に耐える…というのです。世界の各地で、過酷な儀式に臨む少年たちの無事を祈ります。(H.I.)

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