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ロシアの極北地方で毎年、トナカイの遊牧を続けてきたネネツの人々。その伝統に、気候変動と天然ガス開発という壁が立ちはだかっている。

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天然ガスとトナカイの民

ロシアの極北地方で毎年、トナカイの遊牧を続けてきたネネツの人々。その伝統に、気候変動と天然ガス開発という壁が立ちはだかっている。

文=グレブ・レイゴロデッツキー/写真=エフゲニア・アルブガエバ

「もう3年も夏の放牧地に行けないでいる。トナカイが弱って長旅ができなかったんだ」。ロシア極北の遊牧民ネネツの一団を率いるユーリー・フージは話す。

 ネネツの人々は、遠い昔から往復1200キロの大移動を毎年続けてきた。これは世界最長の部類に入る。ロシアに支配され、ソビエト連邦に定住を強いられ、宗教的にも迫害を受けながらも、彼らは独自の言語やアニミズム的な世界観、遊牧生活の伝統を根強く守ってきた。

 ところが今、ネネツの人々はさらなる脅威にさらされている。

 その一つが温暖化。北極圏では「積雪後の降雨」が回数も程度も増大すると予測されている。積雪の後に雨が降ると、雪は厚い氷となって、トナカイが餌を食べられなくなってしまう。2013年から14年にかけての冬は異常なほど暖かく、6万頭を超すトナカイが餓死した。辛うじて生き残ったトナカイも、体力が十分に戻っていない。

 もう一つ、ネネツにとって最大の脅威といえるのが、資源開発だ。ロシアは、新しいエネルギー源を求めて、25万5000頭のトナカイと6000人が暮らすには手狭なヤマル半島の放牧地にも手を出し始めた。ヤマルとは「世界の淵」という意味だが、今は淵から転げ落ちかねない状況だ。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2017年10月号(amazon)でどうぞ。

編集者から

 ネネツの子どもたちが勉強する寄宿学校については、今年4月号の「写真は語る」で紹介したことがあります。その子どもたちが、本来はどのような暮らしをしているのか、この特集を編集しながら知りました。21世紀にこうした暮らしを営んでいる人たちがいることに驚くと同時に、天然ガス開発と地球温暖化いう極めて21世紀的な問題に直面している点では、彼らも私たちと同じ時代を生きているのだと、不思議な感覚を持ちながらも納得しました。世界のほかの人々と同じように、彼らも伝統を失っていくのでしょうか。(S.O.)

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