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ヒマラヤ山脈の密林に暮らすクルン族には、山の精霊に守られた蜂蜜を命懸けで採る男がいる。近代化のなか、その伝統が消え去るかもしれない。

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消えゆく蜂蜜採り

ヒマラヤ山脈の密林に暮らすクルン族には、山の精霊に守られた蜂蜜を命懸けで採る男がいる。近代化のなか、その伝統が消え去るかもしれない。

文=マーク・シノット/写真=レナン・オズターク

 竹で編んだはしごにぶら下がりながら、マウリ・ダンは崖を見上げた。ここは地上90メートルの空中。彼が目指す岩棚には長さ2メートル近いハチの巣が張りつき、おびただしい数のヒマラヤオオミツバチが群がっている。ハチたちが守っているのは、「マッド・ハニー」と呼ばれる蜂蜜だ。幻覚作用があることで知られ、アジアの闇市場で通常のネパール産蜂蜜の約6倍の価格、1キロ4000円前後で取引される。

 ヒマラヤオオミツバチは、標高と季節に応じて数種類の蜂蜜をつくる。春に採る蜂蜜に幻覚作用があるのは、毎年3~4月にかけて咲く大きなツツジの木の花に、毒素が含まれているからだ。ネパール東部に暮らす山岳民族クルンの人々は、はるか昔から蜂蜜をせき止めや消毒薬の代わりに利用してきた。蜜蝋は首都カトマンズの職人に売られ、神々の銅像の鋳型となる。

 マウリにとって蜂蜜採りは、自給自足できない生活必需品を買う現金を得るための唯一の手段だ。とはいえ、彼はもうこの仕事を辞める潮時だと考えている。57歳のマウリにとっては、あまりにも危険な仕事なのだ。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2017年7月号(amazon)でどうぞ。

編集者から

 危険な崖で命懸けの蜂蜜採り――そんなシチュエーションで、主人公はさぞかし大変であろうとは十分察しがつきますが、つい忘れてしまいがちなのが、筆者はもちろん写真家も命懸けだってこと。今回の特集で写真を担当したのは、レナン・オズターク。2015年9月号の「伝説の高峰 カカボラジに挑む」では動画を手がけた、山岳経験が豊富なフォトグラファーです。そんな彼の姿を「Photo of the Day」で発見。「仕事じゃないときくらい、大地に足をつけてみたら?」とみんなで突っ込みを入れましょう。(編集H.O.)

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