世界には、全身の色素が欠乏する先天性白皮症(アルビノ)の人々が数多く存在する。彼らは偏見や差別にさらされ、タンザニアでは、生死に関わる危険に苦しめられている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

白い肌に生まれて

世界には、全身の色素が欠乏する先天性白皮症(アルビノ)の人々が数多く存在する。彼らは偏見や差別にさらされ、タンザニアでは、生死に関わる危険に苦しめられている。

文=スーザン・エイガー/写真=ステファニー・シンクレア

 少年の名前はエマ、15歳。彼が6歳のとき、なたを持った4人の男に襲われ、左腕と右手の指、顎の一部、前歯4本を失った。

 エマは先天性白皮症(アルビノまたはアルビニズムとも呼ばれる)だ。黒い肌の両親から受け継いだ遺伝子の劣性形質が発現したのだ。そのため肌は象牙のように白く、短く刈り込んだ髪は薄いオレンジ色で、視力が弱い。

 サハラ以南のアフリカでは、アルビノの人々は長きにわたって恐れられ、家族からも蔑まれてきた。そして今では身の危険にもさらされている。その体を材料にした薬や魔よけが、富と名声をもたらすと言う呪術医がいるのだ。

 嘲笑の的になる、視力が弱い、太陽の光に過敏といった彼らの境遇は世界共通だ。さらにエマたちが暮らす地域では、悪魔や魔力がまだ当たり前に信じられている。十分な教育を受けられず、貧困がはびこっているせいで、アルビノへの誤解が根強い。アルビノの赤ちゃんは生まれてすぐに殺されるか、村のおきてに従って生き埋めにされるのだ。

 アルビノに対する偏見の払拭を目指すNPO「アンダー・ザ・セイム・サン(同じ太陽の下)」の記録によると、1990年代以降、アフリカ27カ国で少なくとも190人が殺され、300人が負傷した。襲撃のほとんどは2008年以降に発生し、最も件数の多いタンザニアでは、アルビノの人々の墓の盗掘まで起きている。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2017年6月号(amazon)でどうぞ。

編集者から

 この特集はタンザニアが舞台ですが、日本にもアルビノの人々を取り巻くさまざまな問題があることはあまり知られていません。翻訳の監修をお願いした立教大学の矢吹康夫先生もアルビノの一人。お会いしてお話をうかがってきました。本誌の「もっと、ナショジオ」で紹介していますので、ぜひ併せてお読みください。(H.O.)

この号の目次へ

最新号

定期購読

ナショジオクイズ

写真はドバイの街を世界で最も高いビル「ブルジュ・ハリファ」から見下ろしたものですが、ブルジュ・ハリファの高さに近い山は次のうちどれ?

  • 箱根山
  • 比叡山
  • 天保山

答えを見る

ナショジオとつながる

メールマガジン無料登録(週2回配信)

メルマガ登録の詳細はこちら

ナショナル ジオグラフィック日本版 バックナンバー