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過激派組織「イスラム国」(IS)の支配下にあったイラク北部の都市モスルで、奪還作戦が始まった。戦火の迫る街から避難してきた市民たちの声を伝える。

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イラク ISの爪痕と生きる

過激派組織「イスラム国」(IS)の支配下にあったイラク北部の都市モスルで、奪還作戦が始まった。戦火の迫る街から避難してきた市民たちの声を伝える。

文=ジェームズ・ベリーニ/写真=モイセス・サマン

 谷を見下ろす山腹の土塁に、数人のクルド人兵士が立っていた。チグリス川の手前に、モスルの街の灯が見える。ここはイラク北部のクルディスタン地域。クルド人自治区の軍隊ペシュメルガの前進陣地では、兵士たちが何カ月も前から一帯を監視し、詳細な地図を作成し、あらゆる可能性を論じてきた。眼下に広がるイラク第二の都市モスルは、過激派組織「イスラム国」(IS)の支配下にあった。

 2016年7月下旬、長らく噂されていたモスル奪還作戦の開始がいよいよ迫っていた。イラク軍とペシュメルガ、米国主導の有志連合に加えて、トルコ、イランなどの兵士や民兵も集結しつつある。モスルを奪還すれば、あと一息でISをイラクから一掃できるはず。作戦には、そんな期待がかけられていた。

街から逃げ出す住民たち

 モスル市内は大混乱に陥り、街から逃げ出す住民が増えていた。住民たちの主な脱出ルートの一つは、この前進陣地へと通じていて、毎晩のように避難民が山を登って逃げてくる。

 その夜、避難してきたのは7人家族だった。夜間に子連れで山を登り、さんざん道に迷いながら、やっとの思いで安全圏にたどり着いた。父親のアイハム・アリは看護師で、「両親を残してくるのはつらかったが、あそこではもう生きていけなかった」と話す。妻のナワルは崩れるように膝をつき、「モスルではお金も食べ物もなく、飢えていました。でもここまで来れば、もう安全です」と言った。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2017年4月号でどうぞ。

編集者から

 イラクではISの掃討作戦が、北部の都市モスルの奪回という大きな局面を迎えています。激しい市街戦が始まる前に街を出ようと、命からがら逃げ出してきた市民たち。彼らが語る、IS支配下での日々の暮らしは、いつ何が理由で殺されるかわからない、恐怖に満ちたものでした。2016年3月号の「イラクのクルド人 踏みにじられる未来」に続いて、日々の国際ニュースだけではなかなか伝わりきらないイラクの現実を、人々の肉声とともにレポートしています。(H.I.)

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