特集ダイジェスト

インドネシアのスラウェシ島に生息するクロザル。自撮り写真で人気者となったが、とぼけた表情とは裏腹に、彼らを取り巻く現実は厳しい。

すくすく育つクロザルの赤ちゃん。幼いクロザルも森を元気に駆け回ったり遊んだりするが、小さいうちは母親からあまり遠く離れることはない(解説字幕は英語です)。

 インドネシアの森で、いたずら好きのサルが写真家のカメラを奪って「自撮り」をしたという。この一件がなければ、全身が黒い毛で覆われたクロザルが注目されることなどなかったかもしれない。

 その後、写真はインターネット上で瞬く間に拡散し、こはく色の目と逆立った頭部の毛が特徴的なクロザルは突如として世界中の人気者となった。それはちょうど、動物の保全状況を評価する国際自然保護連合が、最も絶滅が心配される25種の霊長類の一つに、クロザルを指定しようとしていたときのことだった。

 自撮りをした「ナルト」という名のクロザルは今も、スラウェシ島ビツン市近郊のタンココ=バトゥアングス=ドゥアサウダラ自然保護区の森にいる。

食用やペット用として売買も

 現地語で「ヤキ」と呼ばれるクロザルは、スラウェシ島で進化した7種のマカク属のサルの一つだが、ここ数年、絶滅のおそれが高まっている。食用やペットにするために捕獲されるほか、ココナツ農園や個人の畑を作るための違法な森林伐採によって生息地が縮小しているのだ。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2017年3月号でどうぞ。

編集者から

 “自撮り”したという写真をめぐって、著作権は撮影したサルにあるのか、カメラの所有者である写真家にあるのか、世界中が注目する事件の主役となったクロザル。とぼけた表情には心がなごみますが、彼らの置かれた状況はとても厳しいものだと、この記事で知りました。野生動物と人間の距離という、世界の至るところで問題となっていることが、クロザルが暮らすインドネシアの島でも起きているんですね。本当に重要なのは、自撮り写真の著作権ではなく、私たちが彼らを追い詰めているのだと知ることでしょう。(S.O.)

フォトギャラリー