北極海の海氷が減っている。地球全体には、いったいどんな影響が及ぶのだろうか? 5カ月にわたって海氷の変化を調べる調査船に同行取材した。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

気候変動 瀬戸際の地球 薄氷の北極海へ

北極海の海氷が減っている。地球全体には、いったいどんな影響が及ぶのだろうか? 5カ月にわたって海氷の変化を調べる調査船に同行取材した。

文=アンディ・アイザックソン/写真=ニック・コビング

 ノルウェーの海洋調査船ランス号の甲板に立つと、どちらを見ても氷と雪が水平線まで続いている。目の前の北極海を覆う海氷は、地図に描かれているような、白一色の連続した氷原ではない。海面にひしめくパズルのピースのような氷塊が絶えずぶつかり合い、刻々と形を変えていく。

 船は鋼鉄製の船体をきしませながら、氷塊の間を縫って進む。一行はランス号の船体を係留できる、硬い氷塊を探していた。凍てつく海を氷とともに漂いながら、北極海の海氷の運命を見届けようというのだ。

【動画】調査船ランス号の、氷だらけの北極海での日々(解説は英語です)

2040年には北極海の氷がなくなる

「北極圏では温暖化がどこよりも早く始まり、急速に進んでいます」と、ランス号を運航するノルウェー極地研究所の国際部長キム・ホルメンは話す。気候モデルを使った予測では、早ければ2040年の夏には、氷のない海域を通って北極点まで行けるようになるという。

 北極海の氷は太陽光を反射し、地球を冷やす役割を担っている。その海氷が減れば、北極圏以南でも気候や気象に影響が及ぶことは避けがたいだろう。だが具体的な影響は未知数だ。より正確な予測のためには、海氷のデータをもっと集める必要がある。

「北極海の調査航海はたいてい夏に行われるので、夏のデータは豊富にあります」と調査船に乗り組む海氷物理学者グンナル・スプリーンは言う。「一方、冬から春にどんな変化が起きるのかは、未知の領域なのです」

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年1月号でどうぞ。

編集者から

 今回の特集に登場するランス号は、ノルウェーの海洋調査船です。大きな海氷に船を係留し、冬の北極海を漂流しながら海氷のデータを集めまくるという、なんともエクストリームな研究に挑んでいます。
「それって無謀なのでは…本当に大丈夫?」と思った私がさらに驚いたのは、この挑戦には似たような前例があったこと。19世紀末、ノルウェーの科学者フリチョフ・ナンセンが凍てつく北極海に船で乗り出し、あえて海氷に閉ざされることで、氷の流れを利用して北極点までたどり着こうと試みています(ナンセンの関連記事「氷の世界の1000日」)。
 ナンセンのフラム号は、木造の帆船でした。当時の最新技術で建造されたとはいえ、氷の海で3年間の航海に耐えたのは驚異的です。その実物は、現在もノルウェーの博物館に展示されているとか。いつか見に行きたいものです。(編集H.I)

この号の目次へ

最新号

翻訳講座

ナショジオクイズ

身を危険にさらして働くこの男性の職業は?

  • ロッククライマー
  • ハニーハンター
  • シェルパ

答えを見る

ナショジオとつながる

メールマガジン無料登録(週2回配信)

メルマガ登録の詳細はこちら

ナショナル ジオグラフィック日本版 バックナンバー