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日本の百年

- OCTOBER 2016 -

ナショナル ジオグラフィック協会 写真資料室から

シルクハットの釣り人たち

 池のほとりで、人々が水面に釣り糸を垂れている。どこにもありそうな、のどかな光景だが、何かがおかしい。それは釣り人たちの服装だ。釣り竿(ざお)を手にした面々はいずれも正装した紳士淑女で、男性はシルクハットにモーニングといういでたち。この写真は「天皇陛下の所有する池で、陛下に敬意を表し、正装して鯉(こい)釣りを楽しむ賓客たち」という説明とともに、1945年11月号に掲載された。記事の筆者ウィラード・プライスによれば、御料地の鴨場(かもば)で行われた鴨猟の際にも、招かれた客人たちは全員が正装を求められたという。


 叉手網(さであみ)と呼ばれる手持ちの網を使った鴨猟は、岐阜県の長良川で行われる鵜(う)飼いなどとともに、日本の伝統文化として皇室の保護の下で保存・継承されてきた。鴨猟や鵜飼いは現在も皇室が客人をもてなす場となっているが、伝統の営みにも変化はある。客人にシルクハットは不要だし、捕獲された鴨は標識をつけて放たれ、再び自由の身となるのだ。


写真=BLACK STAR/NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE

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