世代を超えて受け継がれる“文化”をもつことが、最近の研究でわかってきたオランウータン。だが、生息地の破壊や密猟で、その未来が危ぶまれている。

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オランウータン 樹上の危うい未来

世代を超えて受け継がれる“文化”をもつことが、最近の研究でわかってきたオランウータン。だが、生息地の破壊や密猟で、その未来が危ぶまれている。

文=メル・ホワイト/写真=ティム・レイマン

 長い間、オランウータンほど謎に包まれた大型の陸生動物はそうそういなかった。オランウータンはもっぱら単独で暮らす。しかも彼らは樹上でほぼ一生を過ごし、移動範囲が広く、人間は容易に立ち入ることのできない、起伏の激しい丘陵地や泥炭湿地の森林を主な生息地としている。ボルネオ島とスマトラ島のみに生息する、この類人猿のことが科学的にわかってきたのは、ここ20年ほどのこと。若手の研究者たちが生息地で広くオランウータンの追跡調査を行うようになってからだ。

「世の中で最も難しい研究課題を選んでしまったのではないかと思うこともありますよ」。
 ボルネオ島西部の雨林に自らが設置したオランウータンの調査拠点で、研究者のシェリル・ノットはそう話した。

出産は6~8年に1回

 ノットは20年以上にわたって、ここインドネシアのグヌン・パルン国立公園での調査を指揮し、オランウータンの一生のさまざまな面、とりわけ入手可能な食べ物の量と雌のホルモン、出産との関係について丹念に研究してきた。

 雌のオランウータンは6~8年に1回しか出産せず、出産の間隔がこれほど長い哺乳類はほかにいない。人間とオランウータンに類似点が多いことを考えると、ノットの研究は、人間の妊娠に関する新たな知見をもたらしてくれる可能性がある。

 東南アジアの多くの森林と同様に、グヌン・パルンの森の樹木は通常の年はそれほど多くの実をつけない。ところが、およそ4年ごとに、さまざまな種類の木が一斉に大量の実をつけるのだ。この現象は「一斉結実」と呼ばれていて、ノットはこれに着目し、食べ物となる果実の量とオランウータンの生殖に関連があるのではないかと考えるようになった。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年12月号でどうぞ。

編集者から

 日本で少年時代を過ごした写真家ティム・レイマンの力作をまずご覧いただきたいですね。オランウータンを追いかけたこのプロジェクトで、レイマンは世界最高峰のネイチャー写真賞といわれる「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」に輝きました。この記事ではほかにも、オランウータンの「文化」と呼べるような行動を紹介したイラストにも注目してください。どこか私たち人間と似ていて、思わず顔がほころんでしまいます。(S.O.)

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