プーチン政権の時代に育った若い世代は、祖国に何を期待しているのか。ソビエト連邦崩壊から25年を経たこの国を訪れた。

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ロシア プーチン世代の若者たち

プーチン政権の時代に育った若い世代は、祖国に何を期待しているのか。ソビエト連邦崩壊から25年を経たこの国を訪れた。

文=ジュリア・ヨッフェ/写真=ゲアード・ルドウィッグ

 ロシアのウラル山脈の東側に位置する工業都市ニジニ・タギルは、ソ連時代は鉄道車両と戦車の製造で有名だったが、今は操業停止の工場と失業、それにプーチン支持で知られているという。2011年、ウラジーミル・プーチンが大統領選挙へ3度目の出馬を表明すると、モスクワなどの大都市で抗議運動が起こった。運動を起こした人の多くは都市部に暮らす高学歴の若い中間層だった。

 一方、ニジニ・タギルの工場労働者は同じ年の冬、自分たちはいつでもモスクワに出向いて反対者をたたきのめすと、国営テレビの取材に答えた。それ以来、この町は強力なプーチン支持の町として知られるようになった。

若者たちの夢は持ち家や車

 ニジニ・タギルで私が会った24歳の男性、サーシャ・マカレビッチは、長時間の勤務で疲れきっていた。この町の人たちは過激なほど体制寄りだと、サーシャは言う。「自分たちと異なる立場の人間を容赦なく攻撃するんだ」

 サーシャには夢がある。国際色豊かなサンクトペテルブルクに出て、バーを開くことだ。この大都会には数回行ったことがあり、彼自身は居心地がいいと感じている。けれども恋人は、向こうにマンションを買わないとついてきてくれないだろう。サーシャと彼女の稼ぎを考えれば、夢のままで終わる可能性が高い。

 若者たちの希望にあふれる夢に立ちはだかるのが、プーチン支配下のロシアの現実だ。海外旅行をしたくとも、経済危機によってルーブルの価値は半減した。会社を始めようにも、地元には腐敗が横行し、危険な橋をいくつも渡らなくてはならない。いきおい彼らの夢は、家を買いたい、車が欲しい、家庭をもちたいといった現実的なものになる。親の世代が暗黒の90年代を経験したせいで、若者たちはそんなものさえ手にしたことがないのだ。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年12月号でどうぞ。

編集者から

 本文は政治色がやや強い内容となっていますが、写真では若者たちの文化など幅広い側面を伝えています。政治がらみの話題はちょっと苦手という方はまず、フォトギャラリーをお楽しみください。ちなみに、本文も若者たち一人ひとりのストーリーを中心に構成したルポルタージュで、それほど堅苦しいものではありませんよ。
 ロシアに関する特集といえば、菜園付きの簡易別荘「ダーチャ」を取り上げた2012年7月号の特集「ロシア 菜園で過ごす夏」も私は好きです。夏の話題ではありますが、冬に読んでも心が温まります。(T.F.)

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