NASAの火星探査機に搭載された高解像度カメラ「HiRISE」(ハイライズ)の稼働開始から10年。その画像は、赤い惑星の素顔を伝えてくれる。

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高解像度カメラがとらえた火星の素顔

NASAの火星探査機に搭載された高解像度カメラ「HiRISE」(ハイライズ)の稼働開始から10年。その画像は、赤い惑星の素顔を伝えてくれる。

文=大塚 茂夫

 うねる溝は彫刻刀で不器用に彫ったようだし、黒と赤茶色の不規則なしま模様は炎で焼きつけた杉板の木目を思い起こさせる。しなやかで軽やかな薄墨の筆致、フジツボのようにゴツゴツとした隆起、ひび割れた下地に点在する鮮やかな円弧…。これらの画像はすべて、人類の新たな“ふるさと”になるかもしれない火星の地表だ。

 撮影したのは、NASAの火星探査機「マーズ・リコネサンス・オービター」に搭載されている高解像度カメラ「HiRISE」(ハイライズ)。口径50センチ、実効焦点距離12メートルの反射望遠鏡を駆使して、高度300キロから地上の机ほどの大きさの物体を見分けられる性能を誇る。

 私たちの目として、HiRISEが火星の画像を撮り始めて10年。火星の北極と南極の上空を通過する極軌道を4万6000周ほど回り、赤い惑星の素顔に迫ってきた。これまでに公開された画像は4万6000点を超え、撮影範囲は火星の地表の2.4%ほどに及ぶという。日本の国土面積の8倍近くだ。

 HiRISEは同じ地点を繰り返し撮影することがある。時間の経過や季節などによって、どのように変化するかを観測するためだ。この定点観測によって、現在も変化を続ける地形など、いくつもの重要な発見がなされてきた。

 過去10年にわたって火星への理解を深めてくれたHiRISEは、今この瞬間も撮影を続けている。まだ見ぬ惑星の素顔を私たちに届けるために。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年11月号でどうぞ。

編集者から

 今月号のナショジオは、人類の火星移住の可能性について注目しています。特製付録では、火星に建設される(かもしれない)移住基地の想像図や、火星の地形図をお届けします。詳細な地形図は興味深いものですが、いきなりこれだけを見て、人類の新天地のイメージをつかんでもらうのは、ちょっと難しいかも…とも思い、誌面では、火星の地表を撮影してきた高解像度カメラ「HiRISE」の画像も併せて紹介することにしました。稼動を始めて10年になるHiRISEの画像を見ると、地球の地形とよく似ているな、と思うものもあれば、「何だ、これ?」と驚くようなものもあります。いずれにしても、イマジネーションをかき立ててくれるものばかりです。(S.O.)

人類の火星への旅は、もはや夢物語ではない――。
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